2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development and demonstration of quantification method for bacterivorous character of in situ protistan community
Project/Area Number |
17K18000
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
片岡 剛文 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (10533482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水圏生態系 / 炭素循環 / BrdU / 原核生物 / 原生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌捕食ナノサイズ鞭毛虫(HNF)と餌となる細菌の培養系を作成するために、これまでに、海水湖から単離培養した3種類のHNF(Bicosoecida sp., Vannella sp., Neobodo sp.)と10種類の原核生物株を得た。 原核生物からHNFへの炭素輸送量を見積もるために、原核生物のゲノムDNA(gDNA)内に取り込まれる、核酸前駆体(チミジン)の臭素置換体(Bromodeoxyuridine: BrdU)を定量した。原核生物株の内、増殖速度が速い3株(Alteromonas sp., Vibrio sp., Nautella sp.)について、BrdU(最終濃度=20 micro M)を含む培地で培養し、gDNAに取り込まれたBrdU量を計測した。BrdUの取り込み量は、対数増殖期の細胞からgDNAを抽出してデオキシモノリン酸へ分解したのちに、ヌクレオシドへ分解し、HPLCにより各デオキシヌクレオシドとBrdU濃度を計測した。 BrdU添加区では、gDNA含有量が高く、非添加対象区では見られないクロマトグラムピークが多数検出されたことから、細胞応答に起因する核酸類似物質の混入が考えられた。各株のヌクレオシド総量に対するBrdUの割合を算出したところ、Alteromonas sp.とNautella sp.では2%と3%のgDNAがBrdUと置き換わっていた。一方で、Vibrio sp.は0.28%とほとんど取り込まれず、培養液中のBrdUも検出されなかった。つまり、Vibrio sp.はBrdUを分解しDNA合成以外の基質として利用した可能性があると考えられた。培養株の種類により取り込み量が異なることと、BrdUを核酸の前駆体として利用しない原核生物が存在することが示された。
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