2017 Fiscal Year Research-status Report
MTF1の神経発生におけるエピゲノムプログラミングと神経変性疾患との関連の解明
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17K18001
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
栗田 尚佳 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00746315)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MTF1 / 神経分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属応答転写因子 (MTF1)は亜鉛、銅などの重金属により活性化され、遺伝子プロモーター領域の金属応答配列(MRE)に結合し、金属結合タンパクであるメタロチオネインや亜鉛輸送体の転写発現を調節している。よってMTF1は生体内金属恒常性維持に働いている。また、MTF1ノックアウトマウスは胎生致死であり、MTF1は正常な個体発生に必要不可欠と考えられるが、胎生期の発生段階における本来の役割は不明である。また、MTF1は種々のエピゲノム関連酵素を介しエピゲノム変化を引き起こす。以上からMTF1による金属代謝関連遺伝子の胎生期エピゲノムプログラミング異常が、後天的な疾患発症のリスクとなることが予想される。本研究では、胎生期のエピゲノム変化のキープレイヤーとして金属応答転写因子MTF1に注目し、神経分化への影響とMTF1の神経分化におけるエピゲノムプログラミングを解明し金属代謝異常を基にした孤発性の神経変性疾患への関連性を明らかにする。SH-SY5Y細胞とLUHMES細胞の2種類の神経分化誘導系において、神経分化が進むとMTF1発現量が減少することが見出された。また胎生18.5日での大脳皮質と海馬において一様にMTF1発現が認められた。神経分化におけるMTF1の役割については不明であるが、今回の神経分化誘導系を用いた解析の結果から、MTF1は細胞の未分化性の維持に重要な役割をしているのかもしれない。胎生18.5日齢のマウス脳において、MTF1の発現が認められたが、細胞実験での神経分化前後におけるMTF1変化と併せて、MTF1の未分化、分化時における役割を解明するためには、今後、神経発達段階ごとの時系列での解析が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SH-SY5Y細胞のヒト神経分化誘導系を用いて、分化前後のMTF1発現量変化を確認したところ、神経分化後でmRNAレベルでは変化はなかったが、タンパクレベルでMTF1発現量が減少していた。LUHMES細胞を用いた神経分化誘導系において、未分化に比べて、分化誘導2日目から10日目までMTF1発現量の減少が認められた。また胎生18.5日齢の胎仔脳における海馬と大脳皮質において、免疫組織学染色により、MTF1発現が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
SH-SY5Y細胞とLUHMES細胞の2種類の神経分化誘導系において、神経分化が進むとMTF1発現量が減少することが見出された。また胎生18.5日での大脳皮質と海馬において一様にMTF1発現が認められた。神経分化におけるMTF1の役割については不明であるが、今回の神経分化誘導系を用いた解析の結果から、MTF1は細胞の未分化性の維持に重要な役割をしているのかもしれない。胎生18.5日齢のマウス脳において、MTF1の発現が認められたが、細胞実験での神経分化前後におけるMTF1変化と併せて、MTF1の未分化、分化時における役割を解明するためには、神経発達段階ごとの時系列での解析が必要となる。 今後は、神経分化におけるMTF1の役割について、in vitroによる機能解析と、in vivoによる分化段階によるMTF1の経時的変化を中心に行い、エピジェネティクス解析に繋げる。
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Research Products
(1 results)