2020 Fiscal Year Research-status Report
前駆タンパク質転換酵素に着目した未熟児慢性肺疾患の病因解析と治療法の開発
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17K18005
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 晋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90551250)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺胞形成 / 慢性肺疾患 / 早産児 / 前駆体蛋白変換酵素 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の猛威を受けて、研究室や動物実験施設の閉鎖がつづき、また病院においても患者対応に追われるなど、年度初頭から実験自体を行うことが大きく制限を受けた。 昨年度からの継続で①マウスに対する前駆体蛋白変換酵素の阻害剤の投与による肺胞形成への影響解析を継続した。新生仔マウスに2日おきに前駆体蛋白変換酵素の阻害剤を腹腔内投与してP10で安楽死させ固定、肺胞構築の評価を定量的に行った。Mean linear intercept法、tissue volume density法で評価を行ったところ、阻害剤の投与により肺胞形成が停止・もしくは遅延する現象を確認した。次に②高濃度酸素暴露による慢性肺疾患モデルマウスに対して、前駆体蛋白変換酵素の一種であるfurinをP2から2日おきに投与して、慢性肺疾患の進行を改善する効果があるかどうかについて検討した。現在同じく定量的評価を進めているところである。③培養肺切片を用いた疑似感染モデルの作成について、今年度は系の安定化に時間を要した。これまで使用してきた無血清培地による培養モデルでは結果に安定性を欠くことが多かったため、胎児牛血清を培地に加えたところ、安定した結果を得ることができるようになってきた。来年度は培養肺切片にLPSや炎症性サイトカインの添加を用いた疑似感染モデルの作成と肺胞形成の評価、動物モデルで得られた組織試料を用いた蛋白の発現、酵素活性の解析を進め、プロジェクトを終える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はマウスに対する前駆体蛋白変換酵素の阻害剤を投与することによる肺胞形成への影響評価を中心に検討を進め、慢性肺疾患の病態再現に一定の効果があることを定量的に証明した。細胞レベルの検討では前駆体蛋白や肺を構成する細胞の特異的抗体を用いた免疫組織化学法で、前駆体蛋白変換酵素の局在評価を進めてきたが、抗体の免疫動物の制限により蛍光免疫染色法による証明に困難を生じている。また、前駆体蛋白変換酵素の一種であるfurinを慢性肺疾患モデル新生仔マウスに投与することで、慢性肺疾患の病態を軽減できないか検討を始めており、一定の成果を得つつある。 3次元肺培養モデルでは安定した結果を得ることができつつある。次年度は培養モデルを活用した炎症による肺胞形成の評価を進める予定である。肺の初代培養細胞を用いた検討の準備を整えることができたので、次年度の検討課題としている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は慢性肺疾患モデルマウスを用いて、前駆体タンパク変換酵素の投与による治療効果の検証、引き続き前駆体蛋白変換酵素の発現を促進する薬剤を投与することで、肺胞形成の改善を確認する。形態学的、遺伝子レベル、蛋白レベルで総合的に評価していく予定である。また、培養肺切片にLPSや炎症性サイトカインの添加を用いた疑似感染モデルの作成と肺胞形成の評価、動物モデルで得られた組織試料を用いた蛋白の発現、酵素活性の解析を進め、プロジェクトを終える予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の猛威を受けて、研究室や動物実験施設の閉鎖がつづき、また病院においても患者対応に追われるなど、年度初頭から実験自体を行うことが大きく制限を受けた。そのため、引き続き研究計画書に基づき、実験を進める予定としている。
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