2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of efficient biomass conversion processes with reaction media based on quaternary ammonium salts
Project/Area Number |
17K18008
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
細谷 隆史 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40779477)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リグニン / バニリン / テトラブチルアンモニウム / 酸素 / アルカリ / リグノセルロース / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、リグニンのアルカリ条件における空気酸化において、テトラブチルアンモニウムイオンNBu4+が共存 することで、低分子芳香族化合物(主にバニリン)の生成が促進されることが見出されている。また、バニリンにおける alpha位アルデヒド構造の生成は、betaエーテル開裂によるグリセロール末端のの生成(以下 Path A)とそれに続く側鎖の酸化分解によるアルデヒド基の生成(以下、Path B)の順に進行することが示されている。本年度は、アルキルアンモニウムカチオンの上記反応過程における役割を明らかにするため、N原子上にC1~C6側鎖を有する四級アルキルアンモニウムヒドロキシド存在下での、非フェノール性リグニンモデル化合物LMの分解を行った。 LMは、すべての反応媒体において、Path AおよびPath Bを経てグアヤコールおよびベラトルアルデヒドに分解した。なお、ベラトルアルデヒドは、更なる脱メチル化によりバニリンを与えた。単純なアルカリであるNaOHとNMe4OHの結果を比較すると、後者においてLM変換率の減少と、ベンズアルデヒド類(ベラトルアルデヒドおよびバニリン)収率の増大が認められた。これはPath BがNMe4により活性化されたことを示唆する。この Path B の活性化は、窒素原子上の炭素鎖長の増大に伴い さらに 顕著化することが明らかになった。密度汎関数法を用いたさらなる検討から、LMと4級アンモニウムイオンのアルキル鎖の疎水的相互作用が、Path B の反応速度や選択性に重要な役割を果たしていることが提案された。 以上の結果の一部は、イギリス化学会誌のRSC Adv., 2020,10, 19199-19210に掲載され、同学術誌の2020 HOT Articleに選出された。
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