2022 Fiscal Year Annual Research Report
Photoreduction of carbon dioxide using porous glass nanocavity under ambient condition
Project/Area Number |
17K18013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野地 智康 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (40452205)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ギ酸生成 / 多孔質ガラス板 / エネルギー移動 / 光化学系I / ロドプシン / 吸収波長制御 / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽光エネルギーを燃料に変換する技術(人工光合成)の構築は、持続可能で再生可能な社会の実現に必須である。本研究では、光エネルギーを水素やギ酸などの化学エネルギーに変換するためのデバイス開発、および、そのデバイスに組み込む光合成膜タンパク質、光駆動プロトンポンプ膜タンパク質の機能解析を、分光学や量子化学計算により行った。 光増感剤としてのRu錯体、電子伝達体としてのメチルビオロゲン、ギ酸生成酵素としてのギ酸デヒドロゲナーゼを細孔50 nmの多孔質ガラス板に固定することで、大気下で光ギ酸生成を行うデバイスの開発に成功し、その機能分析を行った。白金ナノ粒子を光化学系Iに結合させた光水素発生触媒を多孔質ガラス板に導入し、大気下での光反応効率を向上させた。光化学系Iが多孔質ガラス板に導入するで、酸素への電子移動が抑制されていることを確認した。これにより、研究の大部分の目的を達成した。 光捕集アンテナであるロッド型フィコビリソームから光化学系Iへの励起エネルギー移動が90 psの時定数で、95%のエネルギー移動効率で、達成されていることを明らかにした。 ロドプシンは、光エネルギーでイオン種を輸送する機能を持ち、人工光合成だけでなく光遺伝学のツールとしても注目されている。ロドプシンが持つ色素レチナールの吸収波長は光サイクルの中で、約70 nm以上も変化するが、その要因は明らかになっていなかった。蛋白質内部の色素の吸収波長を制御する事は、太陽を効率よく吸収する色素の設計に重要である。そこで、バクテリオロドプシンおよびその中間体の結晶構造を元に、量子化学計算を行い、レチナールの吸収波長が、基底状態と励起状態の分極の差と向き、周囲のアミノ酸残基との静電相互作用によって決定されていることを明らかにした。 上記の様に、人工光合成の発展のみならず、蛋白質の機能の理解にも役立つ成果が得られた。
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Research Products
(3 results)