2017 Fiscal Year Research-status Report
マルチモーダル情報アウェアな協調学習プラットフォームに基づく対話支援システム
Project/Area Number |
17K18017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 佑樹 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 助教 (40633524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 協調学習 / CSCL / 多人数マルチモーダルインタラクション / システム開発プラットフォーム / Learning Analytics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多人数の学習者により行われる協調学習を題材とし,学習時にやり取りされる言語・非言語情報を統合したマルチモーダル情報に基づく協調学習支援システムを開発可能なシステム基盤(協調学習プラットフォーム)を実現することを目的としている.本年度は,主に以下の2つの取り組みに関する成果を挙げている. (1)協調学習プラットフォームの仕様検討および実装:以下の3要件を満たすサーバ・クライアント型のシステム開発プラットフォームを開発している.(a)マルチモーダル情報の階層的解釈を前提とし,その基礎となる単一動作に基づく情報を提供できること,(b)学習ツール独自の情報を定義でき,通信可能とすること,(c)開発者によるマルチモーダル解釈処理を可能とする仕組みを実現すること.プラットフォームでは,認証処理に伴う情報や各種センシングデバイスから得られる言語・非言語情報といった予め内容が規定された情報に加え,システム開発者が独自に定義する情報も通信できるように,メッセージング処理の通信プロトコルを規定しており,学習ツールをアドイン的に開発できる仕様となっている.プラットフォームの要件充足を確かめるために,複数名による学習ツール開発と動作検証を実施し,プラットフォーム仕様書に基づくシステムを開発できることを確かめている. (2)分散型協調学習プラットフォームに基づく分析支援ツール開発:開発したプラットフォームに蓄積されるデータ分析作業の負荷を低減するために,マルチモーダルインタラクションの分析手法を参照した分析支援ツールの開発を進めている.本ツールでは,協調学習インタラクションの様子が可視化画面にタイムライン表示され,分析者による区間へのアノテーション機能や,原始的なシグナルを組み合わせることにより,低次なデータを高次な情報へ階層的に解釈を積み上げる機能を備えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに,分散型協調学習プラットフォーム仕様を検討・実装し,この動作検証を終えている.協調学習の学習形態に合わせた学習ツール開発も行っており,プレゼンテーションツールを用いたデータ収集実験を実施している状況である.また,協調学習の対話支援に向けた分析作業に向けて,機械学習ツールへの入力データを出力可能な協調学習ログの分析支援ツールの構築も進めており,多人数での学び合いで生じるインタラクションに踏み込んだ学習分析に貢献できる可能性があると考えている.以上より,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,プラットフォーム上の学習ツールの拡充および,構築を進めている分析支援ツールの実装を進めていくことを計画している.さらに,プラットフォームに基づく協調学習支援システムの利用・分析を通して対話支援機能をモデル化し,この有効性を評価していく予定である.
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Causes of Carryover |
本年度の予算内で購入することのできなかった協調学習で利用するためのクライアント用PC購入に充てる予定でいる.
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