2022 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing the nature of the population constituting the Galactic Ridge X-ray Emission using Near-Infrared
Project/Area Number |
17K18019
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
森鼻 久美子 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (50640843)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / X線 / 白色矮星連星系 / 狭帯域フィルター観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
天の川銀河の銀河面に沿って見かけ上拡がったX線放射に銀河面リッジX線放射がある。この放射は数千万度の高温で、スペクトル中に高階電離鉄輝線を持つ。その起源として高温プラズマと暗い点源の重ね合わせの2説が考えられており、近年の研究では銀河面の場所により起源が異なると示唆されている。点源として激変星とコロナ活動の盛んな星が考えられているが、個々のX線点源の乏しい光子統計のため、X線のみで種族を個々に探ることが難しい。 そこで、星間吸収の小さい近赤外線域で激変星のスペクトルがPaβ輝線 (1.28 μm) を持つことに着目し、Paβ波長域に透過幅を持つ狭帯域on-filterと輝線波長の両側に透過幅を持つことで連続光成分を精度よく差し引き、輝線天体の検出率を向上させる特殊狭帯域off-filterを開発した (Morihana et al., 2021)。製作したフィルターで、チャンドラX線衛星で深い観測があるNorma arm 領域 (336.5度<銀経<338.5度、-0.4度<銀緯<0.4度) を観測した。2021年までに領域の約9割を観測し、激変星候補を抽出した。COVID-19の影響による望遠鏡の観測停止のため、残り1割のデータ取得が遅れていたが、2022年にデータを取得した。解析の結果、全領域で輝線の特徴を持つ8天体を検出した。X線の性質と合わせてこれらの天体は激変星である可能性が高い結果となり、この結果を学会で発表した。 また、狭帯域フィルターでの観測に加え、銀河バルジ領域の近赤外線深撮像観測データを用いて、バルジ領域のリッジ放射に寄与する種族は、磁場の強い激変星より磁場の弱い激変星や非接触型連星系の白色矮性連星系が寄与していることを明らかにし、投稿論文としてまとめた (Morihana et al., 2022)。
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Research Products
(3 results)