2017 Fiscal Year Annual Research Report
Apert症候群疾患遺伝子を応用した顎下腺における上皮間葉相互作用の解明
Project/Area Number |
17K18033
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
森田 淳平 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50737046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 顎下腺 / Apert症候群 / FGFR2 / 分枝形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Apert症候群は頭蓋冠早期癒合症、四肢の合指症を主症状とする先天性疾患で、線維芽細胞増殖因子2型受容体(FGFR2)の一塩基変異(S252WまたはP253R)が原因とされている。Apert症候群患者で唾液量が増大している所見が臨床経験から示唆されるが臨床的及び基礎的報告はない。またFGFR2を介する情報伝達は唾液腺の発生に関与していることが知られている。今回使用したApert症候群モデルマウス(Apマウス)はApert症候群患者の3/4に認められるFGFR2の遺伝子変異(S252W)によりFGFR2の機能亢進を示す。このApマウスをFGFR2の機能亢進モデルとして顎下腺におけるFGFR2の役割を検索し、Apert症候群の病態解析を行った ACTB-Cre+/+マウスとFGFR2+/Neo-S252Wを交配して得た、Apマウスを実験群、ACTB-Cre+/-マウスを対照群として使用した。生後1日齢で、頭部を摘出し、パラフィン包埋後矢状断で薄切し、HE染色を行い、顎下腺を観察した。小葉の数、小葉の総面積、小葉の平均面積と顎下腺の単位面積あたりの実質が占める割合を、画像解析ソフトウェア(ImageJ)を用いて計測した。統計的解析はMann Whitney Utestを行い、有意水準はP<0.05とした。 小葉の数はApマウスで少なかった。小葉の総面積に有意差は認めず、小葉の平均面積はApマウスで大きかった。顎下腺の単位面積あたりの実質が占める割合はApマウスで大きく、これはFgfr2bノックアウトマウスで顎下腺の上皮性細胞の増殖が抑制されるため実質が小さいという報告と整合性のある結果だった。 Apマウスでは、FGFR2機能亢進が原因と思われる顎下腺の形態変化が示され、上皮性細胞の増殖が亢進している可能性が示唆された。
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