2017 Fiscal Year Research-status Report
看護の実情と乖離している演習を補填する仮想現実を用いた新しい教材の開発と応用
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17K18035
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Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
宮崎 剛司 旭川大学, 保健福祉学部, 助教 (60770063)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育学 / 看護学 / 仮想現実 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新人看護師における大学での演習と実際に就職後の臨床との乖離から、リアリティショックによる教育の差異を明らかにしつつ、そのための仮想現実を用いた新しい教育効果の測定にある。そこで、当該年度は、研究実施計画書に基づき、まず、離職者の理由や卒業後の仕事への意識調査を実施した。研究テーマは、「地方大学卒後看護師の離職対策に関する研究」(共同研空)、「ICT教育の簡素化を促進する示唆」の調査にて、情報リテラシーが引き起こす問題を教育課程中から取り入れ、かつ、卒後のフォローアップ体制にもICTの活用をすることの価値を見出すことも必要であるという示唆が得られたことに、今後の研究に対しても機宜に適していると判断できた。そこで、次に、具体的な一つのICT活用に、”Virtual Reality(以下VR)”を用いた教育復習教材を実験的に実施、同時に国際発表にて発表をおこなった。新しい教育教材としての可能性や、教育者の負担減、コスト削減などの肯定的な意見があった一方で、本来であれば、”VR”を用いなくとも、実習や教育時間の工夫で、直接の指導ができる整備が必要ではないかとの意見もあった。これは、否定的な意見までとはならなくても、その回答には、やはり根底にある教育者の労働負担や蜜ある学生との時間確保に、ICTの導入によって、解決の一翼になるとも考察できると感じる。 本研究が目指す”VR”による新しい教育方法は視覚教材にあたり、まず、視聴に適した画素数、視野角、視聴時間などを文献検索にて調査を実施し、同時に各デバイス間での差異を調査した。これらは、動画内容に大きく左右され、一概に適した数値を示すまでには至ってはいなく実験途中である。“VR”教材は、360度の動画構成の利点から、視聴者の“見たい箇所の視聴”、“死角を補う”などの効果が期待されるため、これらを合わせ引き続き、十分に動画内容の構成を実験していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の試行調査から、VR教材は視聴内容によって大きくその教育効果に差異があることが示唆された。そのため、同場面でも、患者と、看護師の視点からの360度撮影によっても、学習効果は異なってくるだろう。 そこで、さまざまな医療行為場面の想定し、学習者が視聴の際に見落とした死角こそが、必要な学習課題であるようなシナリオ、場面の選定に時間を要している。また、撮影場面が医療行為を想定しているため、他機関との連携や倫理的配慮などの十分な打ち合わせが必要であり、“やや遅れている”と判断した。 また、他の理由としては、研究2年目にあたっては学習効果の測定を研究計画に上げているため、それまでには、多くのシナリオと場面を想定したうえで、自律神経測定装置を使用したいと考えることにある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究が遅れることがないように、多くの機関に協力願いを出すこととする。また、撮影できない場面も想定し、3次元のコンピュータグラフィックスの技術を用いて作成することを予定している。その際、ひとつ一つの課題をポイントにしながら、推進のために学習の要点マニュアルを作成し、より実現可能なものとする。VR教材の利点は、360度の視聴とその動画への突入感の高さにある。左右の音響を分け臨場感を増す工夫、後で繰り返し視聴できるように同時に医療行為している場面の設定、広い視覚野をいかした探求型の教材などを作成していくように取り組むこととする。同時に、途中経過は、広く研究ホームページや学会、シミュレーションを通して公開し改良を重ねていく。
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Causes of Carryover |
研究使用機材についてVRヘッドマウントディスプレイを再検討し購入する予定である。その理由として、撮影機材には、納期も含めて時間を要する。その間、技術進歩が早く、研究に使用できそうな新しいデバイスが検討候補になるため、購入が次年度使用額に生じた理由である。次世代のハードウェアによってコードレスにて、よりモーションの測定が可能となるためである。それに伴う、パソコンの購入も必要である。また、コンピュータグラフィックスのソフト、依頼にも費用の負担と予測される。最後に、学習効果の測定に、自律神経装置の購入がある。
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Research Products
(4 results)