2017 Fiscal Year Research-status Report
The international comparison regarding social context embeded student-athlete's career development
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17K18036
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
束原 文郎 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (50453246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大学スポーツ / 日本版NCAA / 文武両道意識 / 学生アスリート / キャリア形成 / 学生アスリートアドバンテージ / 新卒就職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は,1) 国内の学生アスリートのキャリア形成が埋め込まれた社会的・文化的・制度的状況を把握し,構造的に記述することと,2) アメリカ調査の端緒に付くことだった.2018年4月現在,日本ではアメリカの学生スポーツ統括組織NCAAを模し,大学横断的かつ競技横断的なスポーツ統括組織「日本版NCAA」の設立機運が高まった.関西では全国組織に先んじて,同様の統括組織「大学スポーツコンソーシアムKANSAI」が走り始めた (18年4月).こうした動きに合わせ,スポーツ庁では当事者や政策担当者,有識者を集めた懇談会(「日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会」)が3つのテーマ (安心安全,学業充実,マネジメント) で複数回開催されたのに加えて,中京圏,関西圏,九州圏でも複数回の地区別大学スポーツ振興検討会が開催された.各地の大学スポーツ関係者は自ずから当該会合に積極的に参加し,本研究代表者も足繁く通ったため,関係者とのコンタクト,交換された情報量は当初の想定を遙かに超えて充実したものとなった. さらに,学生アスリートのプロフィール(大学ランク,入試経路,学内での相対的的学業レベル,大学スポーツにおける競技レベル)が,就活における学生アスリートアドバンテージへの期待形成にどのような影響を及ぼすのか,学生アスリート専門の新卒就職支援をメイン事業とする企業の協力を得て,学生アスリート就活生を対象とした質問紙調査を実施した.結果として,①文武両道意識は大学ランクが高いほどスポーツ偏重になる傾向があること,②文武両道意識は入試経路および学内での学修状況に依存し,スポーツの競技レベルとは関連が薄いこと,③学生アスリートアドバンテージへの期待形成は大学ランクと入試経路に強く関連し,学内での学習状況やスポーツの競技レベルにはほとんど関連がないことなどが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内での動きを注視するのに国内調査を重視せざるを得ず,国外調査をうまく調整できなかった. 本務校の変更に伴い,公私ともに環境への適応に予想以上の時間と労力を要したことも遠因である.
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Strategy for Future Research Activity |
30年度に重点的に米国調査を行う.6月末から7月初旬にかけて,全米学生アスリートデベロップメント・アカデミックアドバイザー協議会 (The National Association of Academic and Student-Athlete Development Professionals:N4A) のカンファレンスを視察し北米における現状の課題や議論内容の情報収集をすると同時に,協議会設立時の関係者にヒアリングを行い,北米における学生アスリート専門アドバイザー組織の形成過程,経緯について調査を行う.また,9月中旬にはフロリダ大学やカリフォルニア大学の体育局関係者にインタビューを行い,アメリカにおける学生アスリートのキャリア形成が置かれた文脈に対する調査を行う. また,9月初旬にはスウェーデンのマルメで開催されるヨーロッパスポーツマネジメント学会にて現在の国内データの報告を行うため,前後にイギリスのBUCSの調査を行う.BUCSとは,イギリスの学生スポーツ統括団体であり,アメリカとは異なる文脈の中で学生アスリートの学習やキャリア支援を展開する組織でもある.当初の計画には含まれていなかった部分でもあるが,学生アスリートのキャリア形成の国際比較という本研究の目的にとって優先されるべき調査であると判断する.
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Causes of Carryover |
米国での調査費用に充てるべく支出を控えていたが,ヒアリング先とのスケジュール調整に難航し,年度内に実施できなかった.次年度に今年度遂行予定だった調査を行う.
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