2021 Fiscal Year Research-status Report
The international comparison regarding social context embeded student-athlete's career development
Project/Area Number |
17K18036
|
Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
束原 文郎 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (50453246)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 体育会系神話 / 就職 / 大学スポーツ / 学生アスリート / キャリア形成 / 大学新卒労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も感染症の蔓延により,フィールド調査を行うことができなかった代わりに,研究成果の公表に注力した. 研究代表者が継続して取り組んできた学生アスリートの初期キャリア形成に関する研究成果を単著『就職と体育会系神話』にまとめ,青弓社より上梓した.本著では,大学新卒就職市場においてまことしやかに語られる「体育会系は就活で有利」という神話について,それがいつから成立し、どう変容して現在にいたるのか,そもそも,大学新卒就職市場で体育会系が本当に有利なのか,といった問を提起し(第1章),社会学的な解答を試みた. 具体的には,まず,現在の体育会系学生のなかで,神話どおりの恩恵に浴しているのは誰なのかを明らかにした.体育会系学生への就職支援を展開する企業の協力のもとにアンケート調査をおこない,所属大学やスポーツによる差異,ジェンダー格差について統計的に検証した(第2章).そのうえで,戦前・戦間期に最も売れたビジネス雑誌「実業之日本」の記事をたどりながら,明治末期から昭和初期までの間に大学スポーツへの社会的な評価が高まり,就職に有利にはたらくようになった起源と変容を掘り起こした(第3章).さらに,1990年代に情報系躍進企業に就職し,営業として活躍した元企業アスリートの語りをもとに,揺るがない新卒採用の日本特殊的慣行と凋落する企業スポーツとの関係のなかで現象していた体育会系就活や採用の実態を克明に描写した(第4章).企業の雇用実態,企業スポーツの盛衰,大学数の増加とスポーツ推薦枠,社会的・経済的な動向等を確認しながら以上を俯瞰する総合論議を展開し,「体育会系神話」の実態とそれを成立させる構造のダイナミズムを明らかにして(第5章),大学スポーツのゆくえを提示した(第6章). その他,上記のダイジェスト版のチャプターを共編著『現代社会とスポーツの社会学』(杏林書院)に掲載した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
成果の公表は進んだ一方,海外(英国もしくは豪州)へのフィールド調査を予定していたが,感染症の蔓延により渡航できなかったため,実施できなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年11月にメルボルンで行われる豪州・NZスポーツマネジメント学会(SMAANZ)に参加し,公表と同時に豪州における大学スポーツについてフィールド調査を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
海外でのフィールドワークに関わる旅費に使用する予定であった.感染症の蔓延により,海外フィールドワークが実施できなかったため,支出できなかった.
|