2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of tourism benefits by considering travelers decision-making process and congestion
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17K18038
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
野原 克仁 北星学園大学, 経済学部, 教授 (80584854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AHP / ハフモデル / 地域固有資源 / 魅力度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第二の目的である、地域固有資源がどれほど旅行需要に影響を与え、観光便益の増減につながるかについて明らかにする点について、今年度は北海道旅行の魅力度および沖縄県のサンゴ礁の経済価値という観点から研究を実施した。まず、地域固有資源が多く自然資源を活用した観光客が多いと考えられる北海道を対象地域として、インターネット調査による全国調査から得られたデータを使用し、来訪経験者と来訪未経験者に分類し、階層意思決定法(AHP)を用いて地域固有資源(景観・自然、食事・土産、観光地・温泉)と費用の中で何を重視しているかを分析し、その結果を用いてハフモデルへと応用した。その結果、これまで北海道への旅行としてイメージが強い札幌市周辺を含む道央と函館市周辺を含む道南が、AHPを用いた重要度の評価とアクセスの距離を考慮したハフモデルを用いても、この2地域の吸引率が高いことが鮮明となった。遠方(九州地方など)の来訪経験者では未経験者より費用を重視していないこともまた明らかとなった点であり、北海道から遠い九州、四国、中国等の全ての地域において明らかに景観・自然のウェイトが高くなった。このことから、一度来訪すれば北海道の地域固有の資源が費用面のウェイトを下げる可能性があることが分かった。次に、沖縄県のサンゴ礁の価値については、仮想行動法を適用することで、沖縄県にとっては非常に重要な地域固有資源であるサンゴ礁の経済的価値を推計した。特に近年は気候変動や食害、赤土の流出などでサンゴ礁の劣化が著しいため、保全に向けた施策が急務であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度においては、地域固有資源の魅力度評価およびハフモデルを用いた吸引率の計算への応用を実施した点、仮想行動法を用いた地域固有資源の経済評価を実施した点において、研究計画で想定していた以上の進捗があった。その一方、AHPの結果をうけて旅行費用法への応用、および混雑現象の取り扱いには先行研究の整理にとどまった。特に、コロナの影響で旅行に対する評価が大きく変化している可能性が高く、混雑を考慮した旅行費用法による地域固有資源の便益評価を実施するためのインターネット調査の実施を延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
混雑現象と時間価値を考慮したサイト選択モデルの適用については、今後も先行研究のレビューを含め検討していくが、コロナの影響により実地調査やインターネット調査を実施するのは研究遂行上、困難である可能性が高い。そのため、理論モデルの検討を続けつつも、その実証分析については一部計画を変更する可能性がある。その一方で、Melstrom and Welniak(2020)のような、旅行費用法を用いてサイトの混雑現象を取り扱いフィッシングに応用した研究もあるため、先行研究を参考にしつつAHPにより混雑現象を取り扱いそれを旅行費用法に応用し、あわせて時間価値も推計するような新たな手法を提案できるよう研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、予定していた調査及び出張ができなくなったため。次年度では、研究計画で予定していた調査を実施する。
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Research Products
(2 results)