2017 Fiscal Year Research-status Report
Cell-to-cell communication through circulating microRNA in cancer cachexia
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17K18040
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
宮崎 充功 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20632467)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カケキシア / 骨格筋 / miRNA / 運動療法 / タンパク質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌やAIDSといった慢性消耗性疾患における、脂肪および骨格筋量の低下を主徴とした全身性代謝障害症候群として、カケキシア(悪液質)という概念が提唱されている。全身の骨格筋量の低下はタンパク質同化/異化バランス障害の結果として引き起こされるが、その発生機序はほとんど解明されていない。本研究では、「腫瘍細胞から放出される血中分泌型microRNA(miRNA)が、骨格筋タンパク質代謝を負に制御する」との仮説を基に、癌性カケキシアモデルマウスの血中分泌型miRNAの網羅的スクリーニングおよび機能解析を行う。 H29年度においては、癌性カケキシア誘導性血中分泌型miRNAの網羅的スクリーニングを実施した。マウス大腸癌由来細胞株colon-26(C26)の皮下移植を行い、実験的癌性カケキシア誘発モデルを作成し、採取した血清および骨格筋サンプルから全RNAおよびエクソソーム分画を精製した。その後、miRNAマイクロアレイおよびDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析を行い、癌性カケキシア誘導性の血中分泌型miRNAおよび標的候補遺伝子群を同定した。 本研究実績の一部は、第72回日本体力医学会大会(松山市、2017年9月)および第6回骨格筋生物学研究会(札幌市、2018年3月)にて研究発表を行い、また原著論文 (American Journal of Physiology -Regulatory, Integrative and Comparative Physiology-, 2018, in press) として発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カケキシアは負の代謝制御異常を特徴とする全身性症候群であり、なぜ原発病巣から遠く離れた末梢組織(骨格筋)が強く影響を受けるのか、その制御メカニズムを含めて解明すべき課題が非常に多い。また臨床的/社会的にも、カケキシアの進行を防止するための介入戦略の探索が強く望まれている。そこで本研究では、以下の3つの研究テーマを解決すべき課題として設定している。 1) 原発病巣から放出されるエクソソームに内包される血中分泌型miRNAの網羅的スクリーニング 2) スクリーニングされたカケキシア誘導性miRNAのin vitroおよびin vivo機能解析 3) マウスおよび癌性カケキシア患者への身体運動介入がカケキシア誘導性miRNA発現に与える影響 現在までに、実験的癌性カケキシア誘発モデルを作成、血清および骨格筋サンプルから調整した全RNAおよびエクソソーム分画をサンプルとしたmiRNA・遺伝子発現の網羅的解析、血中分泌型miRNAおよび標的候補遺伝子群の同定、という段階まで完了している。これは概ね当初設定した研究計画通りの進捗状況であり、研究全体の進捗は良好であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本研究の進捗状況は概ね当初設定した研究計画通りに進行しているため、特記すべき研究計画の変更/課題/対応策はあげられない。今後の研究推進の方策としては、当初計画に則り、スクリーニングされたカケキシア誘導性miRNAのin vitroおよびin vivo機能解析を進め、さらには次年度以降に予定されていた癌性カケキシアに対する身体運動介入の影響についても着手する予定である。
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Causes of Carryover |
支出費目のうち、物品費・旅費・その他について、当初申請額よりも実支出額が下回ったため次年度使用額が生じた。これは、消耗品費が当初予定よりも安価であったこと、予定していた国際学会への出席が業務都合により参加できなかったこと、論文発表のための英文校正費や掲載費などが当初予定よりも安価であったこと、などの理由雨による。 次年度以降は、予定しているmiRNA機能解析のための実験遂行に多くの消耗品費が必要になること、国際学会への参加を予定していることから、繰越した次年度使用額を活用予定である。
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