2019 Fiscal Year Research-status Report
後期近代の新自由主義思潮下における言語政策形成とオーディエンスのディスコース研究
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17K18043
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
斎藤 明宏 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (90632084)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイアログ / 意識化 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語政策研究分野における主要な先行研究において、政策とは国や国際機関などが関与するマクロ・レベル、国の地方団体や私企業の活動するメソ・レベル、そして、公表される政策を解釈して実施する諸機関内部の職員や教育を受ける学習者、私企業における社内政策推進担当者の関与するミクロ・レベルまで、主要な3つの段階におけるステークホルダーの主体性の発揮を通じて形成・実施されるものと理論化されている。当該年度、ミクロ・レベルにおける施策立案においてステークホルダーが主体性を発揮する態様を探ることを目標とした。一般的な理解として政策は、国や地方公共団体が策定する方針であり、そこで表現される文書等の文字通りに実行に移されると解される向きもある。当該年度は、ミクロ・レベルにおけるステークホルダー、つまりマクロ政策がその行動に介入することを企図する対象者のディスコースの構造、作用、戦略、集団認識に焦点を絞り、その分析を通じて政策形成・遂行段階への関与の態様について理解を進めることができた。ミクロ・レベルにおける主体である外国語学習者の集団が、「未来の多言語社会」化推進のための政策実施構想作業を通じて行うディスコース・データを収集・分析した。その結果、自らの様式でマクロ政策に解釈を施し、その理解に基づいて、多様な施策様式を構想する様子を記述した。政策推進を企図しつつ、自らの実行能力の範疇とそれを超えるものを区別し、自らが対応すべき・可能な領域を定義しながら、国や地方公共団体などのより上部主体が推進するべきものとして峻別する戦略が認められた。成果は、オランダ・ハーグにて行われた研究大会にて成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
指導要領改訂告示によるカリキュラム更新に関連して、複数年度にわたり研究代表者の作業増が続いた。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究において使われる主体性、開放、抑圧などの概念を援用しつつ、精緻な分析を行い、学術誌への投稿準備を進める。
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Causes of Carryover |
進捗が遅れており、それに付随してテキスト分析ソフト購入ともう1つの研究大会への参加も見送ったため。
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