2018 Fiscal Year Research-status Report
超高精細CTによる冠動脈CTの基礎検討および臨床応用
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17K18044
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高木 英誠 岩手医科大学, 医学部, 助教 (40780565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 冠動脈疾患 / 冠動脈CT / 高精細CT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,超高精細CTを用いた冠動脈CTの,1) 従来型CTとの冠動脈狭窄描出能の比較,2) 撮影パラメータの最適化,3)放射線被曝量の指標作成,4) 臨床例における診断精度の算出を行うことである. 2017年に超高精細CTが製品化され,X線検出器が研究機のものから改善された(研究機, 0.25mm×128列; 製品版, 0.25mm×160列).そのため,今年度は,蓄積した臨床データから至適患者条件および推定放射線被曝量の算出,撮影プロトコルの作成を行った. 超高精細CT(0.25mm×160列)を用いた冠動脈CTでは,ピクセルサイズの低下に伴うノイズの増加が問題となる.臨床例の解析により,Body mass index 28kg/m^2以上は,ノイズ増加にともなう画質低下を生じると考えられた.さらに安静時の心拍数が70bpm以上の患者においても,撮影心位相を拡張期と収縮期の両位相を撮影する必要があり,放射線被曝増加が問題になることがわかった. 超高精細CTを用いた冠動脈CTの放射線被曝は,実効線量中央値で5.8ミリシーベルト(Q1-Q3, 4.6-6.7)であった.体格や心拍数マッチさせた患者群において,320列の多列検出器CTでの実効線量中央値が,1.4ミリシーベルトであり,統計学的にも有意に超高精細CTのほうが被曝量が多い結果であったが,最近行われた大規模研究を参考にすると,冠動脈CTの平均実効線量が5-7mSvといったものであり,超高精細CTでも標準的な放射線被曝量で冠動脈CTを撮影できると考えられた.一方で,前述の高心拍数の患者においては,撮影心位相の拡大による影響で,実効線量が10ミリシーベルトを超える場合もあった.以上より,超高精細CTを用いた冠動脈CTを有効利用するためには,適切な患者選択が必要と考えられた. また,超高精細CTを用いた冠動脈CTの撮影条件について,定型的な部分をまとめ,論文発表した(Takagi H, et al. J Cardiovasc Comput Tomogr. 2018 [Epub ahead of print])
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り,研究初年度でファントム実験を終了し,その成果について学会発表した(Takagi H, et al. 「Impact of Heart Rate on Diagnostic Accuracy of ECG-gated Coronary CT Angiography Using Ultra-High-Resolution CT: Phantom Study」, 第76回日本医学放射線学学会総会). 臨床例データに関しても,研究所年度にカテーテル血管造影検査と比較した冠動脈狭窄診断能を算出し,論文発表した(Takagi H, et al. 「Diagnostic performance of Coronary CT angiography with Ultra-High resolution CT: Comparison with invasive coronary angiography」 Eur J Radiol. 2018;101:30-37.).また,冠動脈CTの撮影条件をプロトコル化し,論文発表した(Takagi H et al. 「Optimized interpretation of fractional flow reserve derived from computed tomography: Comparison of three interpretation methods」 J Cardiovasc Comput Tomogr. 2018 [Epub ahead of print]). 研究計画の目的はほぼ達したため,次のステップとして,冠動脈プラークの定量評価,定性評価の再現性の研究に着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
冠動脈CTでは,不安定プラークと考えられるプラーク所見があり,その後の心有害事象発生の危険因子になることが,過去の研究により知られている. 一方で,冠動脈CTを用いたプラーク評価の課題として,観察者間の評価の一致率が極めて悪いことが挙げられる.これは,冠動脈CT画像の空間分解能が,プラークを評価するのには十分ではないためと考えた.そこで,超高精細CTで得た冠動脈CT画像であれば,高い観察者・検査間の再現性をもってプラークの評価を行えるだろうと考えた.超高精細CTによるプラークの再現性評価を現在開始しており,今後も継続して被験者を募る予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた超高精細CT画像の解析において4Kモニタを購入する予定であったが,既存の画像ワークステーションのモニタを流用することで物品費を抑えることができた. 次のステップとして,人を対象として超高精細CTを用いた冠動脈プラーク評価の再現性を調査する予定である.この研究では被検者に2回の冠動脈CT検査や追加の採血検査をうけてもらうため,外来受診料や検査料,検査に使用する薬剤の費用が生じる.これらの費用に助成金を充てる予定である.また,最終年度はこれまで得られた結果を学会発表および論文投稿するため,助成金を充てる予定である.
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Research Products
(4 results)