2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノポアシーケンサーの解析を野外で可能にするクラウド型解析環境の構築と公開
Project/Area Number |
17K18045
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
志波 優 東京農業大学, 生命科学部, 助教 (00647753)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微生物ゲノム / バイオインフォマティクス / ナノポアシーケンサー / MinION / Galaxy |
Outline of Annual Research Achievements |
Oxford Nanopore Technologies社のナノポアシーケンサーであるMinIONは、フィールドでのシーケンスを可能とするポータブルシーケンサーとして注目され、幅広い応用が期待されている。しかしながら、フィールド研究者にとってシーケンスデータ取得後のバイオインフォマティクス解析は依然として敷居が高い。本研究では、ナノポアシーケンサー MinIONから得られるデータのバイオインフォマティクス解析の容易化・効率化・高度化を目指して、MinION向けのクラウド型GUI解析環境の構築を行う。 初年度は、乳酸菌の全ゲノムシーケンスデータをMinIONで取得した後、De novoアセンブリ解析を通じて、既存の解析プロトコルの調査、得られたリード配列の品質評価、アセンブル用のソフトウェアの比較、Illumina MiSeqから得られたアセンブリデータとの精度比較を行った。アセンブル用のソフトウェアであるminiasm/racon、Canu、nanopolishについて比較検討を行い、得られた最適なソフトウェアの組み合せや解析パラメーターを、解析プロトコルとしてシェルスクリプトに実装した。 続いて、クラウド型GUI解析環境の構築に用いるWebアプリケーションであるGalaxyの開発環境を構築した。開発環境を容易に他の計算機に移植できるよう、仮想環境であるVirtualBox上にGalaxyを構築した。また、Galaxy環境で利用可能なバイオインフォマティクスツールが登録されているGalaxy ToolShed上における既存のMinION用ツールの登録状況についても調査を行うとともに、Galaxy環境にコマンドラインツールを実装するために必要な依存関係の解決方法やツールXMLファイルの作成方法について調査を行い、テストツールのGalaxy環境への実装を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WebアプリケーションであるGalaxyにはツール開発に必要な日本語でのリファレンス情報が少ないが、Galaxyの日本におけるユーザコミュニティであるPitagora-Galaxy (http://www.pitagora-galaxy.org/) のコミュニティ活動に参加することで、Galaxy上で開発を円滑に進めるための有益な情報を得ることができ、Galaxyの開発環境を迅速に構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は既存のコマンドライン上で動作する各種MinION用解析ツールをGalaxy環境上に実装し、MinION向けのGUI解析環境の構築を行う。VirtualBox上に構築したGalaxy環境では、仮想ディスクの拡張性に制約があることや環境構築が煩雑なため、コンテナ型環境のDockerをベースに環境の構築を進めていく。また、既存ソフトウェアで不足している微生物ゲノム解析に必要な機能を追加し、解析種別のソフトウェアの組み合せをワークフローとして実装し、最終的にクラウド型GUI解析環境をDocker環境として公開することを目指す。
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Causes of Carryover |
解析ソフトウェアの比較検討や品質評価に用いるためのMinIONデータを複数回取得するためのラン費用を計上していたが、当初の想定以上にMinION用の試薬・ベースコーラーのバージョンアップが活発であり、次年度に発売される試薬がさらにデータ量・質ともに向上することが期待された。そのため一年目のMinIONデータ取得回数を最低限に減らし、代わりに二年目に行う予定であったGalaxyの開発環境の構築を前倒ししたため未使用額が生じた。このため、MinIONでの複数回のデータ取得は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)