2020 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災被災者における災害公営住宅の居住環境が心身の健康状態に及ぼす影響
Project/Area Number |
17K18046
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田鎖 愛理 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80785501)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 災害公営住宅 / 居住形態 / 地域コミュニティ / 健康管理 / 地域保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災被災地における災害公営住宅の居住形態および地域コミュニティの形成状況が心身の健康に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。 令和2年度には、前年度に行った住民調査のデータベース化を行い、予備的検討およびマルチレベル解析を行って、居住形態やコミュニティと精神的健康状態との関連を検討し、学会発表を2件行った。 第91回日本衛生学会学術総会では、「東日本大震災津波被災地域における災害公営住宅の居住環境」と題した発表を行った。災害公営住宅の物理的居住環境は戸建・長屋と集合住宅で異なり、社会的環境は居住地域により異なることが示唆された。今後、このような環境の違いが住民の健康に及ぼす影響を検討することが必要であることが浮き彫りになった。 第40回日本社会精神医学会では「東日本大震災津波被災地域における災害公営住宅住民の精神健康度不良とその関連要因」と題した発表を行った。災害公営住宅住民の精神健康度不良者は一般人口よりやや多く、震災後間もない期間の体調不良による影響が長期化し、更に社会経済的要因が寄与していることが示唆された。長期的な支援に当たり、低身体活動や睡眠障害がある場合は精神健康度不良を念頭においた対応が必要と考えられた。 今後は、住民健診データ請求を行った上でデータベースを完成させ、身体的健康に関しても検討を進め、現在得られた成果とともに学会発表や論文化を更に進める予定である。また、新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、可能な限り研究成果を住民に還元すべく、報告のあり方を検討しながら進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度に自身の気管支炎(2回)や突発性難聴の発症があり、研究の進捗が大幅に遅れた。更に、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、学会発表は何とか行うことが出来たが、対象地域への行き来が困難となり、研究成果の住民への還元が特に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
健診データの請求を行った上で、支援団体調査および住民調査のデータベースを令和3年中に完成させ、得られたデータを基に居住形態および地域コミュニティが身体面の健康状態に及ぼす影響をマルチレベル分析で検討する。また、得られた研究結果を専門家のみならず住民自身に広く周知して結果を還元することで、今後の健康管理に貢献できるようにする。
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Causes of Carryover |
データベースの一部が未完成でデータ解析が終了しておらず、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、地域住民へ結果の還元もできていないことから、次年度使用額が生じた。次年度は、得られたデータを基に居住形態および地域コミュニティが身体的健康状態に及ぼす影響をマルチレベル分析で検討し、結果を学会発表、論文投稿していく。 また、得られた研究結果を専門家のみならず住民自身に広く周知して結果を還元することで、今後の健康管理に貢献できるようにする。
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Research Products
(3 results)