2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Political Economy Analysis of the Regulatory System for Severe Accident measures
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17K18059
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
友利 厚夫 明海大学, 経済学部, 准教授 (50608833)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 事故リスク / 政治的実現可能性 / 不確実性下の意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、事故対策に関する法的ルールの政治的な実現可能性を考慮した上で、企業の過酷事故リスクを社会的に望ましい水準に抑えるために、いかなる規制制度が有効であるかについて分析することである。本年度は、規制主体の情報提供を考慮した場合の政治的に実現可能な規制制度の分析を行なった。具体的には、不確実性下の意思決定についてより説明力の高いモデルを構築するために、損失回避性を考慮した理論モデル及び主観的割引率とリスク選好性が変化しうるかどうかの可能性についての先行研究をサーベイを進めた。その上で、事故の発生可能性が存在する不確実下の意思決定の状況において、プロスペクト理論における損失回避性を考慮した主体を仮定した上でモデルを構築し、最適規制政策を特徴づけ、その政治的実現可能性を分析した。主な結果として、1. 有権者の損失回避性が大きくなるほど、最適規制政策の政治的実現可能性が低下すること、2. 政策選好を有した政党間の競争が激しくなるほど、最適規制政策に近い政策が実現される可能性が高まること、3. 政治家の再選誘因が大きくなるほど大衆迎合的な政策をとる可能性が高まり、最適規制政策に近い政策が実施される可能性は有権者の損失回避性の度合いに依存することが明らかとなった。本研究成果は、現在海外学術誌への掲載を目指して、投稿準備中である。また、今後は現実社会の政策運営に対する本研究成果の実践的な含意について考察していく予定である。
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