股関節深部筋機能の解明―回旋筋群に着目して―

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K18063
• Research Institution: Saitama Medical University
• Principal Investigator: 大久保 雄 埼玉医科大学, 保健医療学部, 講師 (40515558)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 股関節深部筋 / 筋電図 / ワイヤ筋電図 / 運動療法 / 体幹・股関節エクササイズ

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，股関節深部に位置する小殿筋および梨状筋にワイヤ電極を刺入し，基本動作および股関節周囲筋エクササイズを行った際の筋活動を測定することにより，股関節深部筋を強化する有効なエクササイズ方法を明らかにすることを目的とした．
被験者は健常成人男性3名とし，超音波画像ガイド下にて小殿筋前部線維，小殿筋後部線維，梨状筋にワイヤ電極を刺入した．大殿筋，中殿筋，大腿筋膜張筋，内腹斜筋，脊柱起立筋，多裂筋，外腹斜筋，腹直筋，大腿二頭筋，大腿直筋には表面電極を貼付した．反射マーカーを各ランドマークに貼付し，筋電図と同期処理を行った上で，実験試技の動作を三次元動作解析装置にて測定した．実験試技は，①股関節外転，②股関節伸展，③股関節外旋，④股関節内旋，（①～④の股関節運動は股関節角度を変えた様々なポジションで実施）⑤Back bridge，⑥四つ這い上下肢挙上（Hand-knee exercise），⑦歩行，⑧片脚立位，⑨スクワット，⑩ジャンプ＆着地動作，などを行い，それぞれの試技を行った際の動作解析および筋活動測定を行った．
その結果，小殿筋の筋活動量は，前部および後部線維ともに股関節伸展位での股関節外転運動で大きくなる傾向を示した．また，股関節内旋位での股関節伸展運動で，小殿筋前部線維の活動量が大きくなるのに対し，小殿筋後部線維は股関節外旋運動を伴ったBack bridgeで活動量が大きくなる傾向を示した．以上から，小殿筋は前部線維と後部線維で異なった活動様式を呈することが示唆され，今後さらに詳細な検証を行っていく予定である．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では，股関節深部筋（小殿筋，梨状筋）にワイヤ電極を刺入し筋活動測定を行うが，股関節深部筋の筋活動を測定した先行研究は非常に少なく，ワイヤ電極の刺入法や刺入部位の決定など，実験手法の確立にやや時間を要した．ただ，電極の設置方法は概ね確立することができたため，次年度は対象者数を増やしてデータを収集することができる予定である．

Strategy for Future Research Activity

今後は対象者を増やしてデータを収集し，股関節深部筋の筋活動様式を明らかにし，股関節深部筋の強化に有効な運動療法を考案する．
今後の課題として，本実験では動作および筋電図データを同期して測定しているが，両者をより詳細に解析できるソフトが必要になる．次年度の予算にてその解析ソフトを購入し，股関節深部筋活動と動作・アライメントとの関連を検証していく予定である．
本実験結果は，国際腰椎学会や日本臨床スポーツ医学会など国内外の学会にて発表をし，随時投稿論文を執筆する予定である．

Causes of Carryover

実験手法の確立に時間を要し，十分な回数の本実験を行うことができなかったため．また，それに伴いデータ解析を行うことができず，データ解析用に組んでいた予算を使用することができなかったため．