2018 Fiscal Year Research-status Report
地理情報を活用した地域高齢者の低栄養予防のための食環境・行動評価バッテリーの開発
Project/Area Number |
17K18071
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
飯坂 真司 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (40709630)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 介護予防 / 低栄養 / 買い物 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自立した地域高齢者の低栄養のリスク要因として、屋内外の客観的/主観的食環境・行動に着目し、社会的低栄養予防のための食環境・行動を評価する質問紙バッテリーを開発する。具体的には、1)屋外食環境・行動及び家庭内食環境・行動と地域高齢者の栄養状態の関連の分析、2)低栄養の社会環境リスクを早期発見するための食環境・行動評価バッテリーの開発を目的としている。 今年度は、調査1として、屋外の客観的食環境指標と栄養状態・食品摂取多様性の関係を分析した。地域在住高齢者向け体力測定会に参加した65歳以上の者139名を調査した。屋外の客観的食環境指標として、対象者の所属する町内会または町丁名から一定距離帯にある各種買い物施設(スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストア)の数を地理情報システム上で評価した。その結果、500m圏内にスーパーマーケットがある地区に住む者は、500m圏内にない地区に住む者に比べ、卵と果物を毎日摂取することが有意に多かった。また、500m圏内にドラッグストアがある地区に住む者は、500m圏内にない地区に住む者に比べ、卵、牛乳、果物を毎日摂取し、食品摂取多様性スコア高値が有意に多かった。また、買い物施設の種類ごとに、買い物行動の特徴を分析した。 次に、買い物以外の食料品アクセス状況として家庭内環境に着目し、地域在住高齢者89名を対象に、家庭内に常備している食品の種類と栄養状態・食品摂取多様性の関係性を調査した(調査2)。その結果、高齢者が常備している食品としては、卵、緑黄色野菜(生鮮)、果物(生鮮)の順に多かったが、卵の保存は摂取頻度とは関連しなかった。食品摂取多様性4点以上の者は、3点以下に比べ、生魚介類、ヨーグルト、納豆、生鮮緑黄色野菜を常備していることが多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に行った地理情報システムや調査フィールドの整備をもとに、今年度は、首都圏2地区の地域住民に対する現地調査を継続して実施し、買い物環境や家庭内の食品保存状況に関する現状を分析するためのデータが蓄積された。食品摂取頻度に影響する屋外の食環境指標や家庭内の保存食品の種類が明らかとなり、次年度の調査の基礎資料とすることができた。2つの調査を並行して実施し、一部は聞き取り調査項目があったため、予備調査ではあるが対象者数が十分ではなかった。次年度は、さらに調査フィールドを拡大し、対象者数を増やす予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度取得したデータから、買い物代替行動をさらに分析する。具体的には、買い物施設までの距離別や身体機能別に、家庭内環境指標など買い物の代替行動や食に対する価値観の相違を分析する予定である。得られた分析結果をもとに、低栄養の社会環境リスクを早期に発見するための客観的食環境インデックスと自記式食環境・行動評価スケールの開発を進める。これまでの本研究の分析結果に加え、文献レビューや、専門家、当事者へのインタビューをもとに、候補となる項目を30~50項目程度リストアップし、最終的な自記式質問紙のアイテムを作成する予定である。その質問紙を用いて、地域在住高齢者に妥当性調査を実施し、個々人の食料品アクセスの程度や食に関わる手段的ADLを評価できる質問紙を開発する予定である。
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Causes of Carryover |
予備調査の実施回数、対象人数および、それに伴う調査補助者の人数が、当初予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度の調査の人件費として使用する。
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Research Products
(3 results)