2018 Fiscal Year Research-status Report
油と空気の混合作動流体を動力伝達媒介とするアクチュエータの研究開発
Project/Area Number |
17K18076
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
坂間 清子 青山学院大学, 理工学部, 助教 (70773539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクチュエータ / 油圧 / 作動油 / 気泡 / 混合作動流体 / 体積弾性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きな発生力と高い応答性を有し,さらに衝撃吸収性を有するアクチュエータを開発することを目的とし,本研究では気泡の混入した作動油を動力伝達媒体とする油圧シリンダを開発した.気泡の混入した作動油の等価体積弾性係数は,気泡の混入量や気泡と作動油にかかる圧力によって変化する.すなわち,本シリンダは気泡の混入量や作動圧力によって特性が変化する.本シリンダを高精度に制御するには,圧力変化と作動油中の気泡の体積混合比の変化の関係を把握し,作動油の等価体積弾性係数の変化を考慮したシリンダの制御方法を確立する必要がある.2018年度は,2017年度に製作した実験装置の改良を行い,本シリンダの特性を実験および数値解析により評価した. 実験では,シリンダの基本的な特性を把握するために,作動油の等価体積弾性係数を測定する装置を用い,気泡混入量や圧縮速度を種々変更して気泡の混入した作動油の等価体積弾性係数を測定した.その結果,気泡混入量が多い条件では作動油の等価体積弾性係数は大幅に低下すること,気泡の混入量が同じ条件であっても,圧縮速度を変化させることで等価体積弾性係数の変化は異なることが明らかになった.また,製作したシリンダの衝撃吸収性を実験的に評価するために,製作したシリンダを用いてサージ圧抑制効果を検証した.本実験結果から,気泡が混入した作動油を動力伝達媒体とすることで,シリンダの動作方向切り替え時やピストンに衝撃荷重が付加された時にシリンダ内で発生するサージ圧が低減することが確認された. 数値解析では,提案したシリンダをロボットハンドに適用することを想定してロボットハンドをモデル化し,ロボットハンドが物体を把持する際の緩衝効果を検証した.解析結果から本シリンダを搭載したロボットハンドは,高い衝撃吸収性を有することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は,製作したシリンダに気泡の混入した混合作動流体を封入することが難しく,混合作動流体室内に作動油あるいは空気のいずれかを封入することでシリンダの特性を評価していた.2018年度はシリンダの混合作動流体室内に気泡の混入した作動油を循環させられるようにシリンダを改良したことで,シリンダに混合作動流体を封入して実験を行うことが可能になった.また,気泡の混入量を調整してシリンダ内に混合作動流体を封入する方法も確立し,気泡の混入量の違いがシリンダの特性におよぼす影響を評価できるようになった.また,数値解析では,本シリンダを搭載したロボットハンドシステムを対象として実施した解析の結果からアクチュエータの有用性が示されており,混合作動流体の応用可能性の検討が進んでいる. ただし,実験において,アクチュエータの特性をさらに詳細に評価するには気泡の混入量やサイズをさらに精密に制御できるように制御方法を検討する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
製作したシリンダの混合作動流体室内に気泡の量やサイズを制御して封入する方法として,気泡除去装置を利用することを検討している.気泡除去装置は旋回流を利用して油中の気泡を分離・除去する装置である.先行研究で実施した実験や数値解析の結果から,本装置で除去できる気泡の量やサイズは装置の形状パラメータや流体の条件,装置下流の絞りの開度によって変わることが明らかになっており,これらの条件を調整することで気泡の量やサイズを制御することが可能になる.今後,本方法を適用するために気泡除去装置を製作し,気泡量および気泡サイズを制御するシステムを構築して様々な気泡の混入量,サイズで実験を実施することで装置の特性を詳細に評価する.
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Causes of Carryover |
実験装置の改修にかかる費用が想定していた額よりも少なかったために次年度使用額が生じた.ただし,次年度は本実験で使用するシリンダに封入する混合作動流体の気泡の混入状態を制御するために気泡量および気泡サイズを制御するシステムを構築する予定である.次年度使用額と2019年度分として請求した助成金を合わせて本システムの構築に使用する.
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Research Products
(2 results)