2019 Fiscal Year Annual Research Report
An effect of music anxiety on brass instrument players
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17K18079
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
平野 剛 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 協力研究員 (00707515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 演奏不安 / 金管楽器演奏 / ホルン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、当初の計画通り、前年度実施した実験のデータ解析を行ない、演奏不安が金管楽器奏者の身体制御に及ぼす影響を調べた。実験は金管楽器の一種であるホルンを専攻する12名の音楽大学生または卒業生を対象に行い、各被験者のソロ演奏を行ったときの心拍数、筋活動(口輪筋、僧帽筋、手関節屈筋群、手関節伸筋群)、マウスピースを唇に押し付ける力、音を同時計測した。データは奏者が審査員と約80名の聴衆を前にして強い演奏不安を感じる状況でパフォーマンスを行うコンクール条件と審査員と聴衆なしの弱い演奏不安を感じるリハーサル条件の2条件で取得され、2条件のデータを比較することで各指標の変化を調べた。また被験者の不安の主観的評価をVASで評価し、口腔内の乾燥度合いも計測した。VAS評価の結果、コンクール条件とリハーサル条件では、不安に対する主観的評価に差は認められなかった。また口腔内の乾燥度合いも、コンクール条件とリハーサル条件の間で差は認められなかった。一方でパフォーマンス中の平均心拍数は、リハーサル条件では99.6±17.8bpm(平均値±標準偏差)、コンクール条件では132.1±20.0bpmとなり有意差が認められた。演奏中のマウスピースを唇に押し付ける力、口輪筋、僧帽筋、手関節伸筋群の12名の平均値は、リハーサル条件とコンクール条件でそれぞれ有意な差は認められなかった。一方で手関節屈筋群では、コンクール条件よりもリハーサル条件において12名の筋活動の平均値は有意に高かった。以上のことから演奏不安の高い状況における金管楽器演奏では、心拍数や一部の筋活動の変化を引き起こし、これらがパフォーマンスに影響を与えることが示唆された。
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