2017 Fiscal Year Research-status Report
非心臓手術周術期心房細動の短期・長期予後への影響に関する前向き調査
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17K18085
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
樋口 聡 杏林大学, 医学部, 助教 (10445281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非心臓手術 / 周術期心房細動 / 悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】平成29年度は症例の組み入れと同時に、既に組み込まれた症例の長期フォローを行った。当初の予定通り、周術期心房細動の発生率は10%程度で対象症例の蓄積は順調であった。一方、周術期心房細動症例のその後の再発率に関しては先行研究がないために不明であり、10%以下を見込んで目標症例数を1000症例としていたが、実際には再発率が30%以上であった。そのため必要症例数を計算しなおしたところ、800症例で十分であることが判明した。この結果を受けて平成29年11月末で組み入れは終了し、以後はプロトコールに従ってフォローを行っている。 【短期予後について】全例において30日以内の有害事象の記録は終了しており、周術期心房細動との関連性を解析することが可能になった。また、時間軸も併せて考慮することで心房細動と有害事象の因果関係の解析も可能である。 【長期予後について】70%程度の症例が1年フォローを終了している。上述したように心房細動の再発は予想よりも遥かに高かった。それ以外にも死亡イベント、脳梗塞、心血管イベントも認められており、1年後フォローにおいて心房細動と長期有害事象との関連性の中間解析が可能となっている。 【臨床的意義と重要性】現時点では中間解析にとどまるが、既に周術期心房細動は一定の割合で再発することが判明しており、このことは将来の脳梗塞のリスクに曝されていることを意味する。今までは術後の一過性のイベントであると捉える医師が少なくなかったが、そうではないことが示されたことの臨床的意義は極めて大きい。脳梗塞予防を目的とした抗凝固療法の継続が必要であることを本研究は示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために必要な症例数は確保されており、周術期心房細動発症症例においては死亡以外の脱落症例はほとんどなく経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
現状を維持してフォローを継続していく。平成30年度以降は積極的に解析結果を論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
データ入力の謝金が当初の予定ほどは必要なかったことがまず挙げられる。また、退院時のバイオマーカー(TNFαなど)採取を予定していており予算に計上したが、バイオマーカーなしでも再発予測リスクモデル構築が可能であろうと考えられたことから中止した。繰り越し金については論文作成時の英文校正やオープンアクセスにかかる費用として使用する予定である。
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