2017 Fiscal Year Research-status Report
小児期高次脳機能障害患者・家族の生活困難さに関する概念モデルの検討と尺度開発
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17K18087
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岩崎 也生子 杏林大学, 保健学部, 講師 (00515827)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児期高次脳機能障害 / 日常生活の困難さ / 行動評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外の小児期高次脳機能障害に関する情報収集、当該患者・家族へのアンケート及びインタビュー調査、アンケート分析を実施した。 1)国内外の学会や雑誌から資料を収集:本研究の小児期の高次脳機能障害の研究は国内の研究ではほとんど見られない為、国際学会参加等により情報収集を行った。国内では、リハビリテーション場面において、他の発達障害との違いにより混乱している現状を把握できた。国外では、頭部外傷による小児期の高次脳機能障害が問題となっていることが把握できた。 2)インタビュー調査:小児の高次脳機能障害患者家族会に属し、高次脳機能障害の子供を持つ保護者3名および支援者2名にインタビュー調査を実施した。子供の障害の内訳は、インフルエンザ脳症1名、急性脳症1名、脳外傷1名であった。支援者の属性は、特別支援学校教員1名、通所施設職員1名であった。インタビューガイドを作成し、ガイドに沿って半構造化面接を実施した。結果、保護者からは、医療機関や就学施設の小児期の高次脳機能障害に対する理解の乏しさによる負担感について訴えがあり、支援者からは、支援者を支援する資源や周囲の理解がないことが負担になるとの意見が聞かれた。 3)アンケート調査および分析:アンケート調査では、子どもの高次脳機能障害を持つ保護者および支援者に対して、日常生活場面ごとに困難さについて列挙してもらった。発達障害との違いを知るために、同様の調査項目について、発達障害にみられる困難さについても記載してもらった。結果、全ての場面を通じて184項目が得られた。行動の調整:適切量の調整が難しい・周囲の状況合わせて反応することが難しい、動作開始の困難:自ら動作を開始できない・工程や順序の組み立てが難しい・自ら考えて行動することが難しい・予測を立てて行動することが難しいなどの項目が列挙された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していたインタビュー調査およびアンケート調査が予定通り終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー結果およびアンケート調査の分析と行動評価尺度項目の検討、学会での成果発表 1)インタビュー結果の分析:平成29年度に実施した家族および支援者のインタビュー結果の分析を実施する。逐語録の中から、発話分析を行い、「生活を送る中で感じる困難さ」の最小単位の項目を網羅的に同定する。さらに、意味内容の類似性に従い、同種の項目をカテゴリ化しながらグループ編成を行い、関連付けを図解化する。 2)アンケート結果の分析:平成29年度に実施した「日常生活の困難さ」に関するアンケートについて、記述データをもとにBerelson Bの内容分析の手法を用いて分析すつる。エピソードごとの回答全体を文脈単位とし、文脈単位から それそれの問いに対する回答1つを含む文章を記録単位とする。記録単位からサブカテゴリに集約し,カテゴリ分けを行う。信頼性を確保するため、経験年数15年以上の作業療法士3名で実施し、一致率をもとに分類する。 3)行動評価尺度の作成:インタビュー及びアンケートの結果から、行動場面に関する項目を抽出し、評価表を作成する。評価項目の選定にあたっては、1)のインタビュー結果および、2)のカテゴリ分類より得られた行動の特徴に関する項目を抽出する。必要に応じ、予備調査や専門家による話し合いを行い、60項目程度の「小児の高次脳機能障害の生活上の困難さに関する行動評価尺度」を作成する。 4)成果発表および資料収集:1)2)分析結果を国内外の学会や研修会等で発表し、評価表の必要性を含め、専門家および臨床で実際に子どもの高次脳機能障害に関わる事が多い方々に意見を伺う。また、国内外の子供の高次脳機能障害の行動評価に関する資料収集を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度末に予定していた逐語録の作成を、研究の進行に影響しないことを確認し、次年度初旬へ実施予定を変更したため。次年度、その他(逐語録作成費用)として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)