2019 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性菌制御に向けた腸内フローラの機能の解析と応用
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17K18094
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安間 恵子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員(日本学術振興会) (10791890)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 病原細菌 / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌の定着を阻害する腸内フローラの探索および、定着阻害に関わる細菌由来因子の同定を目的とし、腸内フローラを利用した薬剤耐性菌の新しい制御戦略を構築することを目的としている。 上記の目的のために、平成29年度には薬剤耐性菌になりうる菌としてKlebsiella pneumoniaeを無菌マウスに定着させ、ヒト健常者の便を投与して、Klebsiella pneumoniaeが排除されることを確認した。さらにKlebsiella菌を排除可能であった健常者の便から菌の単離を行った。 平成30年度はKlebsiella pneumoniaeを無菌マウスに定着させ、ヒト由来の単離菌の混合液により排除できるかを検証した。また薬剤耐性菌として大きな問題となるカルバペネム耐性 Klebsiella菌(CRE)および、ESBL産生Klebsiella菌を用いて検証した。ヒト単離菌の混合液はヒト健常者便と同様にKlebsiella菌の排除能を有していることを確認した。同じく耐性菌として問題となるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、抗菌薬投与時の腸炎の原因菌として問題となるClostridium difficileに対しても同様に検証を行った。腸球菌、Clostridium属菌は複数のヒト単離菌の混合液に対して腸内細菌科細菌とは異なる反応を示した。 平成31年度は、Klebsiella菌の腸管内の増殖を抑える最小の菌混合液を同定した。さらに、その最小の菌の混合液の各病原細菌に対する抑制効果の検証を開始した。結果、菌によってヒト単離菌混合液に対する反応は異なり、ヒト単離菌混合液の組成により、異なるスペクトラムの菌に対して有用となる可能性が示唆された。
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