2019 Fiscal Year Research-status Report
モダニズム文学における建築の政治学――「空間」をつくる女性たちの欲望と可能性
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17K18101
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
菊池 かおり 法政大学, 経営学部, 准教授 (50793246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジェンダー / モダニズム / 建築 / 空間 / アール・デコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の計画通り、女性インテリア・デザイナー、建築家、小説家たちが、ことな る分野において創造した空間が含蓄する社会的・政治的な意義の検討を試みた。その際、昨年度より開拓した新たな視点――モダニズム建築と女性デザイナーとの関係性を歴史的・文化的位置づけをアール・デコの文脈に見出す視点――を用いた。その成果の一部は、日本ヴァージニア・ウルフ協会が刊行する『ヴァージニア・ウルフ研究』(第36号)に掲載された「モダニズム建築の抑圧とアール・デコの可能性」で発表した。また、これまで進めてきたヴァージニア・ウルフの空間へのアプローチを、同時代の男性建築家のアプローチやのちの空間理論を用いて、その独創性と政治性を明らかにする研究の一部を、一般読者向けに大学での専門科目について実践例を交えて紹介する書籍『専門学へのいざない』(成文堂)にて発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度後半は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響等で、研究が一時的に滞る結果となったが、そこまでは概ね順調に進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られた結果を踏まえて、女性インテリア・デザイナー、建築家、小説家たちが創造した建築のビジョンが内包する社会的・政治的・文化的意義をアール・デコの文脈で再検討する。その際、これまで取り組んできたテーマの一つ――建築の政治的・文化的意義――に「建築と経済活動との関わり」に対する新たな視点を追加する。そうすることで、より多角的に建築と文学の関係性を考察できると考える。そして、これまでの研究成果をまとめ、著書としての公刊を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響等により、研究が一時中断したために次年度使用額が生じた。その使用計画としては、これまでの考察をまとめ書籍化するために必要な研究・準備に充てる予定。具体的には、書籍の購入等を予定している。
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