2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of distribution theory model of care under globalization
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17K18102
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 靜 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (80758574)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケア / グローバリゼーション / ケアワーク / ヴァルネラビリティ / フェミニスト倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
誰かをケアする責任は誰がどのように負うべきか。本研究の目的は、この問いに対してフェミニスト倫理学の立場から、ジェンダー公正にかなうケア責任の分配モデルを構築するために必要な理論的枠組みについて精査することにあった。三年間の中で、ケア責任の分配についてグローバリゼーションの観点から現在の状況を精査し、その上でケアを必要とする条件としてのヴァルネラビリティ概念についての研究を進め、これらを包括的に論じるためにフェミニスト倫理学という研究枠組みの必要性について明らかにした。 初年度は、ケアとグローバリゼーションの関係についての研究を進め論文にまとめた。具体的には、社会学や人類学におけるグローバリゼーションにかんする英米圏の調査研究の成果(ラセル・パレーニャスやアリー・ホクシールドによる移住ケアワークの実態分析)を精査した上で、政治哲学者のエヴァ・キテイやマイケル・ウォルツァーの分析をもとに規範的観点からの検討を行いまとめた。 二年目は、こうしたケアとグローバリゼーションの動向の調査を継続しつつ、水俣病事件におけるケア分担の責任をめぐて、受胎調節指導・妊娠規制というジェンダー暴力のもとケアと生殖について資料調査を行いそれを学会等で報告した。 三年目は、ケアを必要とする条件としての人間のヴァルネラビリティ(脆弱性)について、医学研究における議論を参照しながら、法哲学者マーサ・ファインマンによるヴァルネラビリティに関する議論の精査を行い、その成果を学会にてセッションを組み広く公開した。また、これら三年間の成果を現在著作としてまとめる作業を行なっている。
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Research Products
(6 results)