2019 Fiscal Year Research-status Report
リモートセンシング・データを用いた国際協力事業の地理空間インパクト評価
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17K18109
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
倉田 正充 上智大学, 経済学部, 准教授 (30757050)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際協力 / インパクト評価 / リモートセンシング / 人工衛星 / 地理情報システム(GIS) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主題は、リモートセンシングデータ(特に人工衛星データ)とGISデータを活用して、途上国における様々な社会・経済問題の状況やそれに対する国際協力事業の貢献を定量的に明らかにすることにある。 今年度は、昨年度に国際学会(Sustainability and Development Conference)で報告したバングラデシュにおける大気汚染と児童の健康に関する論文を査読付き国際学術誌(World Development)に投稿し、2020年1月に採択・公表した。同論文では大気汚染が特に男児の発育の遅れに関係する一方、調理で薪や牛糞などの固形燃料を用いることによる室内空気汚染は女児の呼吸器疾患と強く関連しているといった影響の性差が示唆された。同国では国際協力事業として、調理時の煤煙を軽減する「改良かまど」や灯油ランプを代替する家庭用ソーラーパネルの普及が進んでおり、それらの受益者は特に室内空気汚染による健康被害が軽減されると想定される。上記論文はこれらの事業の効果を今後明らかにするための基礎的な知見となるものである。 今年度は他に、研究実施計画に記載している「日本の国際協力事業の地理空間インパクト評価(GIE)」に関する具体的な事例分析や、その方法をまとめたマニュアル作成に努めた。そこでは昨年度に行ったインドの小規模灌漑事業の事例のほか、カンボジアにおける水力発電所改修・建設事業の影響の事例分析も追加した。特に後者については2020年1月に国際協力機構(JICA)にてセミナーを実施し、日本の国際協力の事業評価における人工衛星データの活用方法について提言及び意見交換を行った。 なお今年度末に予定していたバングラデシュでの現地調査は新型コロナウイルスの影響で中止とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、今年度に予定していたバングラデシュへの現地調査が中止となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、新型コロナウイルスの影響により今年度に予定していたバングラデシュへの現地調査が中止となった。2020年4月現在においても同国における感染者数は増加傾向にあり、首都ダッカの都市封鎖も5月まで延期されている。これらの状況から、当面は同国への渡航は困難であると判断し、本研究では計画を変更して現地調査を実施しないこととする。これに代替する形で、渡航費等は高解像度の人工衛星データの購入費等に振り替えて研究を進める。今年度は最終年度に当たるため、他の論文のワーキングペーパー化や学術誌への投稿、さらに分析方法をまとめたマニュアル等の作成の仕上げを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外現地調査等が中止となったため。次年度は同調査は実施せず、高精度の人工衛星データの購入費等に振り替える予定。
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Research Products
(1 results)