2017 Fiscal Year Research-status Report
がん免疫逃避環境を改善しうる新規受容体指向性サイトカインの創製とがん治療への応用
Project/Area Number |
17K18115
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野村 鉄也 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (40582854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TNF / ファージディスプレイ法 / がん免疫逃避機構 / MDSC / TNFR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、がん免疫療法を行う上での問題点として考えられている免疫逃避機構に着目し、その中心的な役割を果たすことが知られているミエロイド由来抑制性細胞(MDSC)における免疫抑制作用を阻害しうる治療薬の開発を目指して研究を行っている。 特にMDSCの免疫抑制活性の増強に関与することが知られている腫瘍壊死因子(TNF)に着目し、その2種類のレセプターとして知られているTNFR1とTNFR2のうち、MDSCによる免疫抑制作用の発現に大きく関与しているTNFR2を介した作用を選択的に阻害できるタンパク質性アンタゴニストの創製を試みている。 その中で本年度は、独自の機能性タンパク質創出技術であるファージディスプレイ法を駆使することで、TNF中のレセプターとの結合に関与する9つのアミノ酸を網羅的に他の20種類のアミノ酸へと置換した構造変異体ライブラリを構築し、その中からTNFR2との結合親和性を利用して、TNFR2へと強く結合する構造変異体を増幅することに成功してきた。さらに、大腸菌培養上清中の構造変異体を利用することで、各レセプターを介した生物活性評価および結合特性評価を行い、2種類のレセプターのうちTNFR2へと選択的に結合するものの活性を示さないアンタゴニスト候補クローンを絞り込むことに成功した。さらに、今後得られたアンタゴニストによる詳細な活性を評価するために利用するMDSCに関して、がん組織からの効率の良いMDSC単離法の確立にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、TNF中のアミノ酸を改変した構造変異体ライブラリの中から2種類のレセプターであるTNFR1およびTNFR2のうち、TNFR2へと選択的に結合し活性を示さないアンタゴニスト候補クローンの創出に成功した。より詳細なタンパク質機能を明らかにするためのタンパク質精製は、次年度の検討課題としたものの、次年度に予定していたMDSCの単離法の確立には成功しており、おおむね順調に研究が進捗しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に得られた候補アンタゴニストに関して、リコンビナントタンパク質を精製し、詳細な生物活性評価および結合特性評価を進めていく。また本年度進めてきた手法で単離したMDSCを利用して、候補アンタゴニストの免疫抑制に対する阻害活性の評価を行う。さらに、担がんマウスに対するアンタゴニストの投与を行い、腫瘍増殖に対する抑制効果やマウス体内のMDSCの免疫抑制作用に対する阻害活性を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも順調に研究が進んだため、当該年度中に前倒し請求を行い研究を行った。次年度は本年度一部検討した内容をもとに継続して研究を進める予定であり、本年度の残り予算もこれにあてる予定である。
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Research Products
(8 results)