2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K18117
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
藤波 伸嘉 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90613886)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / ギリシア / 国際法 / 憲法 / 行政法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究課題の二年目であり、前年度の成果を踏まえる形で研究を進めた。研究実施計画の項に記した通り、家庭の事情もあって長期間の在外調査が困難な状況にあること、また他方で、本研究が対象とする時期に公刊された史料の多くがウェブ上で入手できることから、日常的に、普段からできる限り史料の収集を行なうことを心掛けた。このかん、特に重点的に調査したのは、オスマン帝国末期に活躍した法学者アフメト・シュアユプと、同じく帝国末期からトルコ共和国初期にかけて活躍した法学者・政治家のジェラーレッティン・アーリフの法学書である。前年度に重点的に検討したケマルパシャザーデ・サイト、イブラヒム・ハック、ババンザーデ・イスマイル・ハックの法学書と併せ考察することで、19世紀最後の四半世紀から戦間期に至るオスマン/トルコ公法学史の大枠を押さえることができる。 また、2018年7月には北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターに出張し、北海道中央ユーラシア研究会の場で、本研究課題の延長線上で構想中の書籍の全体像について報告し、ロシア史や帝国論の研究に関し世界的にも第一線で活躍する研究者たちと、貴重な意見交換を行なうことができた。8月には短期間ではあるがトルコ共和国に出張し、イスタンブルの首相府オスマン文書館やイスラーム研究センター附属図書館を訪問して史料の調査及び収集を行なった。この際は現地の新刊書店や古書店も訪れ、貴重な書籍を多く購入することができた。 このほか、本研究課題に関わる形で、いくつか論文を執筆することができた。そのうちの一部は別項に記す通り公刊され、他の一部は現在印刷中ないし編集作業中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゆっくりとした歩みではあるもののこれまでに収集した史料の読解を進められていること、短期ではあるが夏季の在外調査を行なうことができたこと、また、研究計画全般に関する構想報告を行ない一定の手ごたえを得ることができたこと、そして研究論文の執筆や公刊という形での成果発表もそれなりにできていることに鑑みれば、総合的に判断して、研究はおおむね順調に進んでいると言うことができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年夏、そしてできれば2020年春にも、トルコ共和国イスタンブルでの在外調査を行ないたい。既に掲載決定済みで編集中の論文がいくつかあるので、その校正に万全を期しつつ、現在読解を進めている史料に基づく新たな研究論文の執筆に取り掛かりたい。
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Causes of Carryover |
家庭の事情もあり、前年度今年度と在外研究の期間を短めに設定せざるを得なかったため、旅費の執行額が少なめになっている。また、前年度から多額の繰越があったため、今年度単体で言えば受入額以上の額を執行しているにもかかわらず、なお次年度繰越分が生ずることとなった。来年度以降、在外調査の期間を少しずつ長めにとれることが期待されるので、次年度使用額については、これまで充分に執行できていなかった旅費に優先的に割り当てていくこととしたい。
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