2021 Fiscal Year Annual Research Report
Greek Jurists, Ottoman Law: Politics of Jurisprudence in the Modern Ottoman Empire
| Project/Area Number |
17K18117
|
|---|
| Research Institution | Tsuda University |
|---|
Principal Investigator |
藤波 伸嘉 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90613886)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | オスマン帝国 / 国際法 / ギリシア / クレタ / 憲法 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の影響により一年間の研究期間延長を行なったが、その延長期間に当たる今年度も同感染症の拡大は収まらず、やはり元来予定していたトルコ出張は中止とせざるを得なかった。そこで今年度も、手持ちの史料の分析と論文の執筆に注力すると共に、研究書を多く購入した。
19世紀末から20世紀初頭に活躍したギリシア人法学者のオスマン法制論に関する論文を改めて英文学術誌に投稿したほか、5月には歴史学研究会大会で、ロシア帝国との関係を視野に入れつつ、オスマン法からトルコ法への変容に関する報告を行なった。また、クレタ憲法における宗務行政規定に関する論文、オスマン帝国末期のギリシア人歴史家の思想に関する論文、オスマン帝国と国際法の関係に関する文献案内がそれぞれ公刊された。これらは全て英語で書かれたものであり、特に最後の文献案内は現在の研究の最前線における問題の所在を指し示す業績であって、歴史学と国際法学の双方に関わる世界の研究者共同体に少なからぬ貢献を成すものだと信ずる。さらに、3月にはオスマン帝国憲法の日本語訳の改版も公刊した。
本年度も在外調査という点での成果は皆無だったが、その代わりに、文献史学の徒の本道である史料の読み込みに注力すると共に、英文主体でその成果を世界に問うことができた。元来の計画通りとはいかないが、現下の社会環境に鑑みれば、一定の成果を挙げたと言うことは許されるのではないかと思われる。
|
