2019 Fiscal Year Research-status Report
Robert Marjloin's idea for European Monetary Cooperation: Tactical change to 'Neo-Liberalism'
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17K18118
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
工藤 芽衣 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (70433878)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 仏新自由主義 / マルジョラン / 欧州統合(EEC) / フラン切り下げ / 大西洋主義 / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、当初の研究計画においては、初代EEC委員会副委員長時代のマルジョランが、EECの中にどのようにして仏新自由主義の意図を反映した制度をもたらそうとしたのかを、通貨協力提案および中長期経済計画提案を通じて明らかにしていくことを目的としていた。 しかし、研究を進めていく過程で、マルジョランが1950年代フランスの現状をどのようにとらえ、英米主導の国際経済自由化に対してどのように対応しようとしたのか、その中でEECに対していかなる期待を抱いたかを明らかにすることが、EEC設立後のマルジョランの政策提案をよりよく理解するために不可欠であることが認識された。そこで、課題を設定し直し、具体的には次の点を明らかにすることにした。 ①ケインズ主義的政策による近代化を目指す主流の政策決定者と、市場メカニズムと対外的自由化を根幹とした近代化をめざす新自由主義者の近代化手法は異なっていたため、マルジョランは欧州統合を新自由主義実現の場として利用しようとしたこと、 ②英米の考えや政策に大きく影響を受けたマルジョランが、いかなる点において英米的市場経済を取り入れようとし、またいかなる点では市場介入を許容したのかを、大西洋主義と欧州統合への姿勢との関係で明らかにする。 史料収集としては、仏国立公文書館を訪問し、EECや大西洋主義に関連する史料収集を行った。資料収集の前に欧州統合史研究会での研究報告を行い、大西洋主義に関する研究報告のピアレビューを受けた。また、①については、現在、1950年代のフラン切り下げとEEC加盟をテーマとした投稿論文が査読後の修正段階にある。②ついては、仏新自由主義と国際経済秩序をテーマとした投稿論文が審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた1960年代に関するテーマではなく、改めてどこに焦点をおくべきか検討し直した関係で、全体の進捗もやや遅れた。また、国立公文書館のいくつかの史料に関しては、閲覧許可を得るまでに時間がかかるため、史料収集が想定していたほどには進まず、論文執筆において遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度(2020年度)は、昨年度の課題の仕上げとしてEEC加盟と近代化、大西洋主義と新自由主義に関する論文執筆作業を続ける。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の理由:2019年度の史料収集(仏国立公文書館)に際して、閲覧許可手続きに数ヶ月を要するため今回は閲覧を見送ったが、本研究課題との関係では重要であることから、2020年度再訪問を希望するため。また、執筆中の論文について、査読と修正期間を考慮すると、今年度中に終了することは難しいため。 使用計画:(フランスへの渡航の安全が外務省によって確認され次第)国立公文書館再訪問のための旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)