2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on transition and propagation of copper alloy design technology in South Caucasus and West Asia
Project/Area Number |
17K18119
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
藤澤 明 帝京大学, 文化財研究所, 講師 (70720960)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 銅合金 / コーカサス / 西アジア / 鉛同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3回の海外調査と国内での分析作業を進めた。海外調査ではジョージア国立博物館と共同で現地における非破壊による銅合金成分調査を2回実施した。これにより当初の計画していた約200点の調査を終えた。初期青銅器時代から初期鉄器時代に使用された銅合金の種類は、砒素銅、青銅、銅-錫-砒素合金、銅-アンチモン合金であり、全時代を通して砒素銅が検出される。また、器種によって合金の使い分けが行われている。さらに本国での詳細な分析のために微量試料採取を行い、ICP-AESによる定量分析と鉛同位対比測定を進めている。その結果、使用された銅鉱石はアナトリアと同質地域起源であると推定でき、合金種によって使用された銅鉱石が異なる。つまり青銅製品とその他の合金製品では使用された銅鉱石が異なることが明らかとなっている。さらに産地同定を進めるために、文化財資料だけでなく、銅鉱石および錫インゴットの調査も併せて進めることにより生産地を検討していく予定である。特に、錫の流通は世界的な問題であり、今後ジョージア国内の錫の利用を明らかにするため、調査範囲を広げる予定である。 イランにおいて文化遺産・観光・工芸庁の協力の下、サナンダージュにおいて調査を実施した。この地はイラン西部であり、北に位置するコーカサスとの関係を考える上で重要である。その結果、低合金製品が多く、機能を重視した合金設計は行われていない。これは調査対象が副葬品であり、副葬用の金属製品である可能性を示唆している。また同時代のコーカサスとは異なり、青銅もしくは純銅に近い合金のみが検出されている。今後はより北東イランとの比較を行いたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジョージアでは計画していた資料数の調査を終えることができた。また試料の運搬を伴う招聘を予定していたが、先方予算にて招聘が実施できたため、本予算からは支出していない。アルメニアの調査については、近年論文が発表され鉛同位体比の測定結果が得られたため実施しなかった。 本年度より西アジアであるイランにおいて調査を開始することができた。これまで続けてきたコーカサスの調査結果と隣接する西アジアを比較することにより、より大きい視野での人類の合金設計技術の検討が可能となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ジョージアについてはこれまでの内容をまとめ論文として発表する予定である。また産地同定を行うため、トビリシ大学の地質学者とともにジョージア国内の銅鉱石の鉛同位体比の測定を行う予定である。 イランについては引き続き調査を予定しているが、安全保障貿易管理の対応が求められており、このままアメリカによる経済制裁が続いた場合、分析機器の持ち込みができなくなる。また招聘についても同様である。よってこの場合はコーカサスの南西に位置するトルコの調査を検討する。
|
Causes of Carryover |
専門家招聘を行ったが、渡航費を先方が負担したため支出がなかった。先方からの要望もあり、ジョージア国内には分析装置が少ないため、翌年度は国内での分析調査をより多く実施する。
|
Research Products
(2 results)