2020 Fiscal Year Research-status Report
民俗芸能公演をめぐるアートマネジメントの基礎的研究―伝承と創造の観点から
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17K18128
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
福田 裕美 東京音楽大学, 音楽学部, 准教授 (50633624)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 民俗芸能 / 劇場ホール / アートマネジメント / 文化政策 / 文化財政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の民俗芸能が演じられる場として、土地の行事等での伝承のほかに、土地を離れて多様な目的をもって企画される民俗芸能公演があるが、その公演の企画運営に係る方法論は確立されるに至っていない。一方で文化財政策との関わりの中で土地で伝承される民俗芸能の保護から、特に舞台化され再創造された民俗芸能公演が切り離されてきたことは日本独自の展開である。本研究では、民俗芸能公演に関わる各団体の現地調査とそれに基づく分析を主軸としながら、あわせてその土地での伝承に係る現地調査とこれまでの民俗芸能公演の系譜に係る歴史調査を行うことで、伝承と創造との関係性の中に民俗芸能公演の企画運営の方法論を提示し、その先に人材の育成も視野に入れた「民俗芸能公演のアートマネジメント論の基礎」を構築することを目的とする。 2020年度は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受けて、現地調査や対面でのインタビュー等を全面的に中止をせざるを得なかったが、下記について進めた。 ・課題1(各団体の民俗芸能公演の実績の整理と直近の公演の内容、運営状況の調査)については、電話やメールによる調査を中心に進めた。 ・課題2(昭和40年代・50年代の民俗芸能公演の資料整理と関係者へのインタビュー)についてはインタビューを電話にて実施した。 また、これまでに収集した資料の整理を順次行い、あわせて本研究課題に関わる内容・調査の成果の一部の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、2020年度に予定していた課題1(各団体の民俗芸能公演の実績の整理と直近の公演の内容、運営状況の調査)について、a)公演団体とb)運営団体とc)文化施設の調査と課題2(昭和40年代・50年代の民俗芸能公演の資料整理と関係者へのインタビュー)の大半が実施できず、大幅に遅れている。
課題1の調査対象である民俗芸能団体等(a)(b)は活動の中止を余儀なくされ、また高齢化が進む小さな集落等のために感染予防の観点から外部からのアクセスが難しく、通信状況が悪い山間部に位置することや高齢化によりインターネットが対応できないなどの理由により、さらに調査が困難になった。同じく調査対象である文化施設(c)は、民俗芸能公演以外のあらゆる公演が中止・延期となりその対応に追われる一年となり、本研究への対応が難しくなった。課題2の調査先についても、歴史的な資料の所有者の多くが高齢化しているため、感染予防の観点から資料を見せていただいての調査が困難になった。 以上により、調査全体が大幅に遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は上記のとおり新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて調査の大半が実施できなかった。 一方で、2019年度より統括責任者として推進している、テーマに共通する点がある文化庁の補助事業(文化庁令和2年度大学における文化芸術推進事業「日本とアジアの伝統音楽・芸能のためのアートマネジメント人材育成」)において、コロナによる制約を受けながらも人材育成プログラムを実施する中で、本研究課題に関連した成果や、必要なネットワークを多方面において構築することができた。さらに、本研究課題において必要な視点が多々得られ、またコロナ禍において調査を実施するためのテクニカルな面での検討をする機会が得られた。 今後は、この経験を活かしながら、以下のとおり研究計画を変更する。
2021年度は、2020年度に実施予定だった、課題1(各団体の民俗芸能公演の実績の整理と直近の公演の内容、運営状況の調査)について、a)公演団体とb)運営団体とc)文化施設の調査と課題2(昭和40年代・50年代の民俗芸能公演の資料整理と関係者へのインタビュー)の調査を実施する。なお、調査対象については遠隔でも調査可能な調査先を選定しなおしたうえで実施する。調査先のエリアに在住者の中で機材の設置等の調査協力者もあわせて選定する。後半より課題2のデータベースの構築を開始する。 2020年度調査の大半が実施できなかったため、期間延長を申請し2022年度の前半は前年度までの調査の二次調査とデータベースの構築を引き続き行い、後半は分析と考察・成果のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、2020年度は調査の大半が実施できなかったため。 2021年度は計画を変更して実施する予定である。
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