2017 Fiscal Year Research-status Report
NKT細胞の活性化によりドナー T 細胞を制御する新しい免疫寛容誘導法の確率
Project/Area Number |
17K18137
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石井 瑠美 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40751178)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 移植片対宿主病 / T細胞 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでの研究で、骨髄移植時に NKT 細胞を適切に活性化させることで、低侵襲な前処置でもドナー 骨髄が生着するマウス臓器移植モデルの作成に成功している(混合血キメラ誘導による移植免疫寛容の成立)。更に、骨髄移植時に NKT 細胞を活性化することで、移植片対宿主病が予防可能であることを報告した。しかし、臨床的には得られる造血幹細胞数には限りがあること、混合血キメラは不安定であり完全キメラの誘導が推奨されることから、より少ない骨髄細胞数でも完全キメラを誘導できるように改良する必要がある。そこで今回、骨髄生着促進作用を持つドナー成熟 T 細胞を移入する事で、臨床応用に即した量の骨髄細胞数でも、安定した移植免疫寛容を誘導できるようなプロトコールを樹立することを目的とした。 非骨髄破壊的放射線照射後のレシピエントマウスに、ドナーマウスより採取した骨髄細胞を移植し、NKT細胞を活性化する liposomal α-galactosylceramide(lipo-aGC) と抗 CD40L 抗体を投与する。この条件ではドナー骨髄細胞は生着しないが、ここにドナーマウスの脾細胞から採取した T 細胞を移入することで、ドナー細胞が生着し、完全キメラが誘導できるかどうかを評価する。次に、得られたキメラマウスが、移植片対宿主病を発症するかどうかを観察する。更に、ドナー移入 T 細胞を GFP マウスから得ることで標識し、移入 T 細胞の動態解析を行う。また、移入ドナー T 細胞がレシピエント免疫細胞に与える影響を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非骨髄破壊的放射線照射後のレシピエントマウスに、ドナーマウスより採取した骨髄細胞を移植し、liposomal α-galactosylceramide(lipo-aGC) と抗 CD40L 抗体を投与する。この条件ではドナー骨髄細胞は生着しないが、ここにドナーマウスの脾細胞から採取した T 細胞を移入すると、ドナー細胞が生着した。このように、ドナー成熟 T 細胞移入により骨髄生着が促進する実験モデルを確立した。得られたキメラマウスには、臨床的・組織学的に移植片対宿主病の所見を認めなかった。次に、GFP マウスの T 細胞を移入することで、移入 T 細胞の動態解析を行った。キメラマウスの移入 T 細胞は、初期には全身の各臓器に生着するが、徐々に減少した。移入 T 細胞の表面抗原を flow cytometory で解析し、移入 T 細胞が Veto 作用を有する可能性が示唆された。レシピエントマウスに map kinase (MEK)/extracellular signal regulated kinase (ERK) inhibitor を投与すると、キメラ誘導されないことから、移入ドナーT細胞は、MEK/ERK signaling を介して Veto 作用を発揮している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ドナー成熟 T 細胞移入により、更に前処置を軽減しても、安定した移植免疫寛容を誘導できるようなプロトコールの考案を試みる。
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