2021 Fiscal Year Research-status Report
Critical Analysis of Dysfunction of Real-time Disaster Damage Simulation System: "SPEEDI" and Other Cases
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17K18139
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
寿楽 浩太 東京電機大学, 工学部, 教授 (50513024)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SPEEDI / 科学技術社会学 / 構造災 / 政策の失敗軌道 / リアルタイム被害予測システム / シミュレーション / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一昨年度までにすでに実証的な研究成果を挙げてきたが、当初計画の最終年度の終盤から新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、研究の総仕上げと位置づけていた関係者ワークショップを実施できない事態となり、日本学術振興会の措置を受けて研究期間の延長を申請し、受理された。 今年度は感染拡大の収束によりWSが実施可能となることに期待したが、最終的に対面開催が可能な状況に至らなかったのは残念であった。 そこで、引き続き学術的な成果の出版・発信を継続的に実施した。まず、2021年5月に開催された科学技術社会論学会主催のシンポジウムにおいて、本研究の成果を含む講演を行った。同学会学会誌に当該講演を踏まえた短報の寄稿を依頼され、すでに掲載は決定して当該号は2022年度中に刊行される予定である。 また、昨年度に引き続きオンライン開催となった、4S (Society for Social Studies of Science)の年次研究大会(2021年10月)でも過年度に続き、本研究の成果を含む発表を連携先研究者と共同で実施した。 さらに、過年度に論文受理を報告した、米国原子力学会(ANS)の論文誌Nuclear Technologyの「原子力の社会科学の新機軸」特集号所収論文(研究代表者が筆頭著者)についても、2021年7月に出版された。原子力分野のもっとも主要な論文誌の一つである同誌に論文が掲載されたことは、学際的な研究を志向する本研究にとって大きな成果である。 研究代表者は引き続き東京大学、千葉大学等で複数の科目を非常勤講師として授業を担当し、その中でも本研究の研究成果を紹介しつつ科学技術社会論ならびに科学技術の社会学の学術的・社会的意義を解説し、履修学生から肯定的なフィードバックを多数得たことから、研究成果の教育への還元も大いに実現できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
再度認められた研究期間の延長により、研究論文の英文主要誌への掲載、国際学会での追加的な発表など、成果の出版の面での進展はあったものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続き、当初から開催予定だった関係者ワークショップの対面開催は引き続き困難な状態が継続したことから、当初計画に比べるとなおも遅延が残っていると言わざるを得ない。 このため、研究期間の再々延長を申請し、次年度においては関係する状況が改善することに期待して、引き続き所期の成果を得るべく努力することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書を提出する2022年度初頭時点では、新型コロナウイルス感染症感染拡大に関しては国内外ともに一定の落ち着きの気配もある。本研究はすでに英文主要誌に論文が掲載されるなど一定の成果は挙げているものの、関係者ワークショップを開催して成果を当事者にも還元しつつ、相互の学びを深めることで社会的な問題への対処にもつなげるという所 期の目標は未だ達成できていない。次年度こそは、感染拡大状況を慎重に見きわめつつも、ぜひワークショップを対面開催して計画の全体を完遂したい。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」「今後の研究の推進方策」においても述べたように、2021年度も年度を通して新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続き、本研究において研究の総仕上げと位置づけていた関係者ワークショップが開催できなかったため、開催に係る経費として見込んでいた物品、旅費、謝金等の支出が生じなかった。 同ワークショップについては、昨年度においてテレビ会議システムを活用した開催も検討したが、参加を求めるべき関係者の間での信頼関係が既に十分に存在するとは必ずしも言えないケースも多々ある一方で、当事者間では意見や利害が異なる部分も大きいことを本研究がまさに明らかにしていることから、研究者側も経験が十分でない中での実施は社会的・倫理的に問題を生じる懸念が残った。 2022年度は期初から新型コロナウイルス感染症に係る状況に改善の兆しもあることから、対面状況でのワークショップ開催が可能となるタイミングを見きわめてぜひ開催することとしたい。
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