2020 Fiscal Year Research-status Report
ラオスにおける農業協同組合をめぐる経済格差の是正と再生産過程の人類学的研究
Project/Area Number |
17K18150
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
箕曲 在弘 東洋大学, 社会学部, 准教授 (70648659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラオス / コーヒー / 貧富の差 / 協同組合 / 家計戦略 / 負債 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2007 年にフランス開発庁の支援により設立された官製コーヒー協同組合がこの9年間に規模を縮小させた実態に着目し、社会関係や生態環境の村落ごとの差異に配慮しながら、協同組合の規模縮小の原因を探ることにある。さらに、この調査を通して協同組合が実践する新たなコーヒーの生産と取引の仕組みが、農家の経済格差の是正と再生産にいかに作用しているかを明らかにする。 この目的を達成させるために、令和2年度も、引き続き現地調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、海外渡航が不可能となった。そのため、本年度はおもにこれまで得られたフィールドデータの整理を行った。また、Zoomを使用し、オンラインで現地農協の代表から話を聞いた(ただし、回線状況が悪く、十分な聞き取りにはならなかった)。一方、5月には日本文化人類学会研究大会、12月には環境社会学会研究大会において口頭発表を行った。また、5月には昨年度に執筆していた『国際開発研究』29巻1号に論文「「フェアトレード贈与」が導く階層的関係の構築―ラオスにおける民衆交易/フェアトレードコーヒー取引の事例から」を発表した。1月にはJapanese Review of Cultural Anthropology21巻1号に論文「Student Activities to Promote Fair-Trade without Emphasizing It: The Difficulty in Constructing the Citizen-Consumer in Japan」を発表した。 予定していた海外調査は不可能になったが、その分、口頭発表と論文執筆の時間はとれたため、上記の形で2回の口頭発表および2本の論文刊行により、計画の遅延をある程度、補うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた海外調査は2年連続で不可能となったため。しかし、これまでのフィールドデータをもとに口頭発表や論文発表を重ねることによって、海外調査による遅延をカバーしている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は、延期していた現地調査を敢行する。協同組合縮小の原因、経済格差の是正や再生産への影響を考察するための基礎的なデータを、現地調査により得ていく。11月に現地調査を行い、仲買人と農民の取引の実態を明らかにする。11月は収穫時期にあたり、多くの仲買人が毎日のように買い付けを行っている。こうした取引の実態をおさえることで、協同組合にはない取引上の利点を明らかにする。これにより協同組合縮小の原因を明らかにできるだろう。 同時に、仲買人の取引が、一般に言われるように搾取的であるかどうかをも考察する。これを通して、仲買人が経済格差の是正や再生産にどのようにかかわっているのかを明らかにする。この結果、協同組合を通した取引との共通性や相違性をより深く理解できるようになる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け本年度は予定していた海外調査が不可能となったために、次年度使用額が生じた。翌年度に繰り越した予算は、海外調査の旅費や滞在費として使用する。11月のコーヒーの収穫期および3月のコーヒー加工が終了した時期の2回の渡航を予定している。また、年度内に英語論文を1本仕上げる予定となっており、そのための英文校閲費も計上している。
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Research Products
(4 results)