2022 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study on the Process of Reproduction and Reduction of Economic Disparity Concerning Agricultural Cooperatives in Lao PDR
Project/Area Number |
17K18150
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
箕曲 在弘 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70648659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラオス / コーヒー / 経済格差 / 協同組合 / 生計戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる2022年度は、コロナ禍のため3年間延期してきた海外におけるフィールドワークを短期間ではあるが敢行した。このフィールドワークは本科研費の研究目的であったラオス南部のコーヒー生産者のもとで行った。フィールドワークでは、これまで渡航できなかった3年間の調査地における出来事をキャッチアップすることが大きな目的となった。 フィールドワークの結果わかったことは、ラオスの急激な物価上昇による人びとの生活への多大な影響である。農村では家庭菜園が以前よりも充実しており、現金に依存しない生活にシフトしていた。また、ラオスの物価上昇率は近隣諸国に比べ高くなっており、現地の農協はコーヒーの買取業者が支払い不可能なほど高い買取金額を望んでいる。実際、物価は2019年の2倍から3倍にまで上がっているものもあった。こうした状況で農家の生活は以前より総じて厳しいものになっていることが分かった。 研究期間全体をとおして、当初の研究目的はある程度達成したものの、総じて不十分であったと言わざるを得ない。というのも、コロナ禍で渡航が3年間不可能になり、予定していた海外フィールドワークができなかったためである。もっとも、これまで取得した聞き取り資料を用いて、学会発表や論文掲載などは可能であったため、それなりの研究成果は出ている。しかし、本科研費の研究目的に記した「地域内の経済格差の是正と再生産のメカニズムの解明」という部分については、十分な資料を得られていない。今後、継続的にフィールドワークを行うことで将来的に目的を達成したいと考えている。
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