睡眠障害に関するストレスコーピングの有効性の総合的検討

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K18155
• Research Institution: Nihon University
• Principal Investigator: 大塚 雄一郎 日本大学, 医学部, 助教 (40748399)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: ストレスコーピング / 睡眠障害 / 系統的レビュー / 労働者

Outline of Annual Research Achievements

睡眠障害は現代社会において重要な疾病である。厚生労働省は睡眠障害に関する指針を掲示しており、その中では睡眠とストレスの関連性は示唆しているが、具体的なストレスへの対処方略（ストレスコーピング）には言及してない。また、睡眠障害に関するストレスコーピングの有効性についてのエビデンスは乏しいのが現状である。本研究では、コホート研究および系統的レビューを行い、睡眠障害に関するストレスコーピングの有効性を検討することが目的である。研究では、同一の生徒集団を対象に、平成30年度と平成32年度に合計2回の自記式質問調査を実施する予定である。
平成29年度は以下の手順で調査をすすめた。
（１）自記式質問調査票および調査票に関する記入マニュアルの作成を行った：基本属性、雇用形態・従事業務・勤務時間、休日の取得状況、睡眠障害の有無、生活習慣、ストレス、ストレスコーピングの評価に関する自記式質問調査票を作成した。
（２）倫理審査委員会への申請：研究計画書、自記式質問調査票、調査票記入マニュアルを日本大学医学部倫理審査委員会に提出し、4年間の調査研究の実施についての承認を得た。
（３）対象企業への調査依頼を行った：研究対象の予定とした企業への調査依頼と調査内容の説明を行った。選定した企業の管理者や従業員に研究協力依頼書、研究計画書、自記式質問調査票、調査票記入マニュアルについて説明し、調査について説明と協力を依頼した。必要に応じて調査協力企業に出向き、調査の趣旨と調査手法について説明し、平成30年度に行う調査研究の準備がほぼ完了した段階である。
（４）疫学調査と並行して系統的レビューを行っている。複数のデータベース（CINARL, EMBASE, MEDLINE, Psyc INFO）にて、ストレスコーピング・睡眠障害・縦断研究をキーワードに横断的に検索を行い、 関係論文を抽出中である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度は調査研究の準備段階と位置付けており、平成30年度の調査に関する準備を行った。まず、自記式質問調査票および調査票に関する記入マニュアルの作成を行い、誤字・脱字の確認を第3者にお願いした。また、研究者所属機関の倫理委員会での承諾を得た。対象企業については健康管理部門や人事部門の担当者を中心に調査を説明し、調査をいつでも行えるよう手配済みである。また、系統的レビューについても文献データベースを使用し、論文を抽出できている。

Strategy for Future Research Activity

次年度以降はの計画としては
（１）調査の実施（ベースラインおよびフォローアップ調査を2年間かけて行う予定である。
（２）統計解析（睡眠障害及びストレスコーピング方略の算出と危険因子の同定）：得られたデータ（横断データ）を解析する。まず、各質問項目より基礎統計表を作成し、睡眠障害とストレスコーピングとの関連について多変量解析する。さらに睡眠障害非罹患者を抽出し、ストレスコーピングの有無でその集団を2群に分け、2年間のコホート研究を行う。
（３）系統的レビューを引き続き進め、平成31年度に発表を計画している。

Causes of Carryover

計画当初に予定していた企業への出張費であるが、申請者の所在地から長距離にある企業はウェブ会議や電話、学会でのミーティングで代行できたため、出張費を節約することが出来た。また、データベース契約料についてもデータベースが無料で使えたので、節約することができた。調査票の印刷は外部の業者に委託したため、プリンターの購入は次年度に使用する予定である。また、調査票の一部が間に合わなかったので、次年度に使用する予定である。次年度以降対象者への調査および統計解析を進める予定であり、そのために必要な諸経費に使用する予定である。