2018 Fiscal Year Research-status Report
抑うつ予防のための、サポート期待介入ワークの開発に関する研究
Project/Area Number |
17K18157
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
亀山 晶子 日本大学, 文理学部, 研究員 (70771252)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ソーシャルサポート / 心理教育 / 抑うつ予防 / サポート介入 / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
励まし,手伝いなどの周囲からの様々なサポートは,ストレスを緩衝し,抑うつの予防になることがわかっている。本研究の目的は,抑うつ予防のため,「自分は家族や友人からサポートを得られる」という予測(サポート期待)を高める介入ワークの原型を作成することである。この目的の達成を目指して,本年度はサポート期待を向上させる要因に関するワークの原案を作成し,その効果検証のために予備的なデータを収集することであった。 当該年度の研究実績の概要としては,まず,前年度に友人へのサポート期待と関連する要因として,社会的スキルや対人関係に対する認知的な特徴とサポート期待向上に関連が示唆されたことをふまえ,対人関係に関する考え方のくせを修正するワーク,社会的スキルに関するワークを作成した。そして,このワークを授業内で介入群に実施し,受講していない学生(統制群)と比べて,授業前後のサポート期待やスキルなどの指標の変化を検討した。その結果,介入群では授業後に社会的スキルのワークで習った内容に関心を持ち,日常的に実践していた者が多く,統制群よりも社会的スキルの向上がみられた。一方で,介入群・統制群ともにサポート期待には向上がみられなかった。その原因としては,社会的スキルに比べてサポートのやりとりに関する実践は関心を持たれにくく,介入群の多くは日常的に実践する前の準備段階にとどまり,日常的な実践までに至らなかった可能性が考えられた。今後はサポートのやりとりに関しての動機づけを高められるような授業構成やワークに改善し,データを増やして効果の検証を続ける予定である。 さらに,サポート期待向上の関連要因の分析結果について第82回日本心理学会で発表を行った。サポートを得られにくい特徴についての研究成果は投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,前年度に行ったサポート期待を最も向上させる要因の検討結果をもとに,ワーク原案を作成し,予備的に授業内で実施しデータを取る予定であった。前年度の検討課題の積み残しがあったため,当該年度の前半には家族のサポート期待と友人のサポート期待との違いの検討を行ったが,後半にワークの原案の作成から授業内実施,データ収集,分析までを遂行できた。また,レポート形式で受講者の感想や評価を聞き取ったデータから,今後のワークの改善ポイントについて検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の方向性としては,大きな変更点はない。 次年度は平成30年度に遂行した分析の成果を報告し,関連領域の研究者とも議論したうえでプログラム内容を改善していく。特に,予備的に行った効果検証から,サポート期待に関するワークの効果が十分でない可能性が示唆されたため,サポートに関するワーク内容については再度見直し,改善を加える。具体的には,サポートのやりとりに関して受講者が興味関心を持ち,自身の課題改善に向けての動機づけにつながる内容に改善していく。そのうえで,関連分野の専門家や研究者を交えて内容の吟味をさらに行う予定である。 次年度前半でワークの改善を行った後,次年度後半には効果の検証としてさらにデータを集めて検討を行う。研究代表者が担当する選択科目において授業内で数回ワークを取り入れ,効果に関する指標を測定する。プログラムの評価指標には,友人/家族へのサポート期待,サポートやスキル獲得と関連する自己効力感や動機づけに関する指標を含める予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度で行う予定だった受講者の感想インタビューをレポート形式での聞き取りに変更したため,インタビューにかかる経費(場所代,機材等)が不要になり,次年度使用額が生じた。次年度はワーク作成と実施にかかる費用(印刷費,郵送費,謝金),結果の解析(統計ソフト,入力のアルバイト雇用)に使用予定である。さらに,調査データの成果の公表にかかる費用(学会出張費,参加費,投稿にかかる経費など)として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)