2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18162
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
原田 真澄 日本女子大学, 文学部, 研究員 (40580444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 太閤記 / 古典芸能 / 近世文学 / 歌舞伎 / 人形浄瑠璃 / 文楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、研究計画で予定した通り近世演劇(人形浄瑠璃・歌舞伎)の「太閤記物関連作品」調査を集中的に進めた。テキストが残っていない作品についても、番付類や役者評判記の記述などから関連作品を確認し、すでに調査が進んでいた人形浄瑠璃作品を合わせて近世演劇の「太閤記物関連作品年表」をおおよそ完成させた。 作品研究としては、本能寺の変に焦点を絞った人形浄瑠璃・歌舞伎と関連する軍書類についての作品研究を行った。前記の太閤記物関連作品年表に関する研究と合わせて、成果の一部を論文「明智光秀と本能寺の変」及び年表「信長関連演劇作品初演年表(人形浄瑠璃・歌舞伎)」(共に、井上泰至編『信長の虚像と実像』(文芸通信、2019年中に出版予定)所収)にまとめた。 また、太閤記物以外の軍記物の研究にも着手し、平家物語と平家の関連について作品世界・詞章・音曲など多方面から研究を行った。その結果はシンポジウム「楽劇と平家物語」(登壇者:伊海孝充・原田真澄・野川美穂子、第26回楽劇学会大会(国立能楽堂大講義室、2018年7月)において口頭発表し、さらに発表内容を増補した論文「平家物語と近世演劇の「世界」―人形浄瑠璃を主に―」(『楽劇学』第26号(楽劇学会、2019年5月出版予定)所収)を発表した。この平家物語関連の研究手法は、太閤記物でも応用可能であると考えている。 今年度は、作品調査と作品研究について、想定以上の研究成果が得られている。来年度以降も遅滞なく研究を推進できるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究が問題なく進められており、おおむね順調に研究が進捗している。また、平家物語関連の研究で得られた成果も今後の太閤記物研究に応用できると考えられるため、今後は当初想定していたよりもさらに視野の広い研究成果が期待できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度以降は、歌舞伎作品の準太閤記物を中心に作品調査の遺漏を補いつつ、分野横断的作品研究を集中的に行うことを予定している。 現在予定している個別の作品研究は、「三日太平記」を主とする松下嘉平治に関する近世演劇・軍記類についての研究である。また、準太閤記物としては近松半二作「近江源氏先陣館」・「太平頭かぶとの飾(鎌倉三代記)」の連作と歌舞伎「近江源氏仕方講釈」の影響関係の研究、および明治期に再流行した河竹黙阿弥の太閤記物と「太閤記関連作」についての作品研究にも着手したいと考えている。 また、今後も注目すべき作品・資料があれば翻刻・紹介を行っていく。
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