2022 Fiscal Year Annual Research Report
Inertia of Brand Management
Project/Area Number |
17K18167
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大竹 光寿 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (40635356)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ブランド・アイデンティティ / ブランド・イメージ / 正統性 / 組織慣性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マーケティング活動に関わる組織慣性が強化、緩和されるプロセスを明らかにすることである。具体的には、組織と市場で共有されたブランドに対するイメージが新しいマーケティングの取り組みを阻んでしまう条件とそれが緩和さえる条件を検討することにある。本年度は、これまでの研究成果に基づいて、強いブランドであるが故に生じる慣性について、消費者と当該企業という2つの側面から検討を加えた。特に本年度は、前者について、強いブランドの源泉ともなっているブランドの「ほんものらしさ」が消費者によって見出される手がかりについて体系的に分析した。15名の消費者に60分、デプスインタビューを行った。見出しているブランドを一人あたり3,4つ程あげてもらい、そのブランドに出会ってから現在に至るまでの経緯を話してもらいながら、製品やサービスそれ自体だけでなく、企業の姿勢や取り組みについて文脈を考慮した語りをしてもらった。前年に引き続き、消費者への寄り添い方や一貫した企業姿勢など、長期にわたるブランドとの付き合いのなかで消費者が確固たる想いやイメージ、求めるものをもっており、それが一部の企業において新しい取り組みの実行を阻んでしまっていた。その慣性は、異なる市場、例えば日本と中国というように当該ブランドに対して異なるイメージを抱いている市場と企業が向き合っている場合に打破されることもあれば、過去の企業の取り組みを精査してそれを現代の文脈にあるように解釈し直すことで、組織内部で生じた慣性(例えば「これは我が社でやることじゃないよ、うちのブランドらしくないよ」というような声に表れる)が緩和されることが明らかにされた。
|