2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K18169
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
上谷 幸治郎 立教大学, 理学部, 助教 (20733306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱伝導 / 高分子 / セルロース / ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、天然資源から抽出した高結晶性セルロースナノファイバーの伝熱性について、その集積材料の内部構造と関係付けて評価することを目的としている。これまでの研究から、分子鎖が伸び切った結晶構造を取るセルロースナノファイバーがプラスチックやガラスより高い熱伝導性を発揮し、従来断熱材料と見なされていたセルロースが伝熱材料へと変換できる可能性が示唆されていた。しかし、セルロースナノファイバーによる断熱材から伝熱材までの約3桁に渡る熱伝導率差は、ナノファイバーの集積構造によって変化するが、異方的な繊維状物質に固有の伝熱異方性について未だ解析されておらず、集積材料の伝熱性能制御において本質的な課題となっていた。当該年度は、セルロースナノファイバーを一軸配向処理したシート状集積材料において熱伝導率の方位差を評価することで、セルロースナノファイバーに固有の伝熱異方性を推定することを目指した。 酢酸菌が合成するセルロースナノファイバー集合体であるナタデココを引張試験機により一軸延伸し、熱プレス乾燥することで、一軸配向性のナノファイバー集積材料を調製した。延伸に先立ち予備的な脱水を施すことで、低応力での不用意な破断を回避することが出来た。2次元検出器を用いたX線回折測定により配向度パラメータを算出したところ、延伸の程度と配向度がよく相関した。熱伝導率測定について、延伸方向と延伸垂直方向、厚み方向の3方位を独立に評価した結果、配向度が増すに連れて延伸方向の熱伝導率が上昇し、延伸垂直方向には減衰した。セルロースナノファイバーは配向する方向に高伝熱性を示すことが初めて明らかとなり、同時にナノファイバー1本についても長軸方向に高伝熱性であることが明確となった。また、セルロースナノファイバー単繊維でおよそ10倍程度の固有伝熱異方性が存在すると推定されている。上記成果は、学会および論文にて発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集積材料を用いたセルロースナノファイバーの伝熱性評価について、材料の調製から評価までほぼ計画通りに遂行し、解析することができている。またセルロースナノファイバー単繊維の固有伝熱異方性についても推定することができた。当該内容により論文発表等も行い、一定の成果を上げることができたため、進捗としては順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、ナタデココ以外のセルロースナノファイバーを用いて同様の配向集積材料を調製し、熱伝導率異方性を評価してゆく。これにより、セルロースナノファイバーの由来による固有伝熱異方性の差異を明らかにする。また配向集積技術の開発検討を進めることにより、様々な原料由来のセルロースナノファイバーを配向させ、伝熱材料として利用できる基盤を構築する。
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Causes of Carryover |
物品費の見積額が変更され、減額された為、残金が発生した。 残額は次年度の物品費として計上し使用する予定。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Robust Nanofibrillated Cellulose Hydro/Aerogels from Benign Solution/Solvent Exchange Treatment2018
Author(s)
Juanjuan Fan, Shinsuke Ifuku, Mengzhu Wang, Kojiro Uetani, Hai-Wei Liang, Haipeng Yu, Yongming Song, Xiaohe Li, Jiale Qi, Yiqun Zheng, Haigang Wang, Jing Shen, Xianquan Zhang, Qing Li, Shou-Xin Liu, Yixing Liu, Qingwen Wang, Jian Li, Ping Lu, Zhuangjun Fan, Wenshuai Chen
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Journal Title
ACS Sustainable Chemistry & Engineering
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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