2017 Fiscal Year Research-status Report
Promotion of social interaction through understanding of others gaze by children with autism spectrum disorders
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17K18172
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
渡邉 孝継 立正大学, 社会福祉学部, 助教 (00769466)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害児 / 視線理解 / 社会的相互作用 / 応用行動分析学 / 単一事例研究法 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1.ASD児に対し,他者の視線方向や表情を読み取ることが可能になるプログラムの開発,2.プログラム実施前から終了後にかけて,家庭や保育・教育場面における社会的相互作用の様相を聴取(行動逸話収集)により評価すること3.本研究を実施した結果,ASD児自身の幸福感・満足感の向上に繋がったか否かを確認することの3点であった。このうち,平成29年度はASD児へ,1.実験室のような統制された場面で獲得したスキルが,家庭や保育・教育場面で発揮しやすくなる技法を用いた他者の視線方向や表情を読み取ることが可能になるプログラムの実施することと,2.プログラム実施前から終了後にかけて,家庭や教育場面における社会的相互作用の様相の聴取を実施した。結果を以下に記した。 1.机上ゲームの内容と対戦相手を決定する場面において,研究を実施した。この場面において,ASD児が他者の視線方向や言語反応,表情といった対人反応が提示される場面を複数体験することにより,①他者の視線を見る行動,②他者の反応に合わせた行動の選択,③その選択の理由説明がどのように推移するか検討した。ASD児は本研究実施以前に他者の視線方向の理解に関する指導を受けていたため,先行学習と類似した場面を設定するだけで,これらの3つの行動を自発可能になった。以上のことから,ASD児の社会的相互作用の促進可能性を指摘した。 2.保護者に家庭と学校場面における社会的相互作用の様相を聴取(行動的逸話収集)した。結果として,学校場面において,他者の視線方向や表情を参考にした社会的相互作用の報告が確認できた。このことから,日常生活場面において本研究で発揮可能となった行動が般化したと考えられた。 以上のことから, ASD児が獲得した他者の視線方向を読み取るスキルを家庭や教育場面においても発揮可能になるプログラムの開発を達成できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,ASD児へ,1.実験室のような統制された場面で獲得したスキルが,家庭や保育・教育場面で発揮しやすくなる技法を用いた他者の視線方向や表情を読み取ることが可能になるプログラムの実施することと,2.プログラム実施前から終了後にかけて,家庭や教育場面における社会的相互作用の様相の聴取(行動逸話収集)を行う計画であった。これらの研究は,すでに実施が完了している。現在は,平成30年度の計画を滞りなく実施するべく,準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,3.平成29年度の研究を実施した結果,ASD児自身の幸福感・満足感の向上に繋がったか否かを確認する予定である。子どもと保護者の双方のQOLを測定することができるKid-KINDLRの尺度を用いて,その変化を分析する。Kid-KINDLRは6領域について各4項目ずつ合計24項目から構成される。この6領域の合計得点はもちろんのこと,項目についても詳細に分析を行う。分析は,得点をグラフ化し,変化があれば一目瞭然となる視覚的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった物品(映像データ記録用のビデオカメラのバッテリー)が在庫切れで購入できなくなり,その分の金額を次年度へ繰り越したため。
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Research Products
(1 results)