2017 Fiscal Year Research-status Report
Research in the pathogenesis of food allergy associated with symbiotic-microorganisms
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17K18189
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
川原井 晋平 麻布大学, 獣医学部, その他 (20533079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 食物アレルギー / イヌ / 細菌叢 / 網羅的16S解析 / CD14 / SNP / スエヒロタケ感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
食性とアレルギー発症との因果関係を明らかにするため、当該年度は、症例の皮膚スワブおよび糞便からの細菌叢を採取した。アトピー性皮膚炎と健常のイヌより採材を行い、1犬種10頭ずつの採取を完了した。また、食物アレルギーのイヌからアレルゲンを除去時と負荷時に採取を行い、1犬種について5症例以上の採取が完了した。これら検体から細菌叢ゲノムの抽出を完了した。アレルギー性皮膚炎の既往歴のあるイヌ5頭に、加熱鹿肉を高蛋白となるように与え、与える前と与えた後の細菌叢を採取した。うち、2頭について、網羅的16S細菌叢解析を実施した。糞便細菌叢はこれまでの報告と同様に、個体間で異なり、また、加熱鹿肉を与えることで菌叢に変化が生じることが示唆された。 細菌叢の免疫に関わり、ヒトにおいてアレルギーとの関係性が報告されているイヌCD14遺伝子のクローニングを行った。そして、犬種における一塩基多型(SNP)の存在を解析した。ヨークシャーテリアにおいて転写開始点の上流にSNPが存在することを明らかとした。このSNPの遺伝子型とアレルギー皮膚炎の罹患率との関係性を調査したところ、有意差は認められなかった。このSNPの存在部位が転写因子の結合配列上に存在していたことから、このSNPを含む配列をルシフェラーゼ遺伝子に結合したプラスミドを作成してリポーターアッセイを行った。SNPの遺伝子型の違いからルシフェラーゼ活性に顕著な違いは生じなかった。しかし、この転写因子結合配列を変異させたコントロールプラスミドの導入細胞では活性を認めず、したがって、この配列はイヌCD14遺伝子の調節部位であることが初めて示唆された。 チーターにスエヒロタケの日和見感染を生じたアレルギー性真菌症を報告した。猫科の動物で初めて認めた稀な報告である。 常在菌叢のひとつマラセチア菌による皮膚炎を緩和する源泉を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画通りに順調に検体収集が行えている。網羅的16S細菌叢解析を効率的に行うべく、本学設置の次世代シークエンサーを用いずに解析を外部委託することとした。費用を抑えるために検体をある程度集めて解析を行う必要がある。その分、解析に遅れが生じている。次年度にまとめて解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度を継続して、検体の収集を行っていく。抽出した細菌叢ゲノムDNAが一定数収集できた時点で、網羅的16S細菌叢解析を行う。アトピー性皮膚炎のイヌ、健常イヌ、食事アレルギーを発症している時としていない時、そして加熱鹿肉による高蛋白摂取時と市販フード摂取時の細菌叢を比較して、アレルギー発症に関わる菌叢を選別する。見つかった菌叢から菌種を培養して、マウスに移植することで、リンパ球の構成比に変化が生じるかを解析する。菌叢が明確にならなかった場合、動物園展示肉食猫科動物の糞便細菌叢と比較する。有用な細菌叢が見つからなかった場合、皮膚の常在酵母菌叢であるマラセチア菌を対象に検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度は検体収集を優先して行った。次世代シークエンサーを用いた網羅的16S解析を効率化するため、本学設置ではなく外部のより優れた機器を用いて行うこととした。このため、実施にあたり、多数の検体をまとめて行うことが必要であった。当該年度に行わずに、次年度に行うこととしたため、使用額が生じた。細菌叢解析だけではなく、次年度はメタボローム解析も行うことを計画している。
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