2017 Fiscal Year Research-status Report
動的身体適応力の向上に有効なトレーニング要素の解明
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17K18191
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
児玉 謙太郎 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (20734411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 姿勢 / バランス / 全身協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、動的身体適応力の向上に有効なトレーニング要素を解明することである。ここでいう動的身体適応力とは、「環境や自己のダイナミックな変化に対して、身体システムの要素同士を素早く柔軟に協調させて、全身を動的に安定化・組織化できる能力」のことである。例えば、つまずいた際に素早く姿勢を調整する場面などで求められる身体能力のひとつであり、高齢者の転倒予防などにも必要な能力だと考えられるが、その効果的なトレーニング方法など明らかではない。 本研究では、既存のバランス・トレーニングに含まれる要素を実験的にコントロールした実験を計画した。具体的には、1)支持面の動揺方向として、上下・左右・前後の動揺、2)触覚的な特性として、支持面の一部、または全体が環境面に接しているか否かを検討した。当該年度では、1)支持面の動揺方向を検討する実験を計画した(ただし、以下の通り、一部、実験計画を変更した)。 統制群として固い地面(動揺方向が限定された条件)の上で、バランス・トレーニングを実施する群と、実験群として支持面が全方向に動揺する器具(スラックライン)を用いてトレーニングを行う群を比較することにした。具体的には、先行研究を参考に週1回×4週間のトレーニング(片足立ち、歩行…など難易度を12段階で設定)を実施した。まず、当該前年度から実施した実験群(スラックライン群)に関する予備実験の結果、個人差などの影響で一貫した効果がみられなかったため、本実験に向けて、トレーニングの内容や評価テストの内容を再検討した。本実験の結果について、群間でトレーニング結果を比較するため、現在、トレーニング前後で計測した重心動揺データの分析を行っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書提出当初の予定からの変更点・未達成点として、1)実験計画と2)サンプル数がある。1)実験計画:当初の研究計画では、1要因被験者間計画で、4水準を計画していたが、安全性や、要因の特定手順、分析の複雑さから、最初の実験は2水準に変更し、その結果を受けて、他の要因の追加を検討することにした。2)サンプル数:また、サンプル数は期間内で計15名に留まった。理由としては、実験環境の確保・構築に時間がかかったこと、実験実施するための時間を充分に確保できなかったことが挙げられる。現在、このサンプル数で一旦の分析を進めている状況であり、傾向を確認してから、追加でサンプル数を補充する予定である。 当該期間で実施した項目として、1)データの収集、2)分析フローの確立、3)分析の実施がある。1)データの収集:予備実験、及び、本実験を実施し、予備実験の結果については国内学会、及び、研究会などで発表した。予備実験の結果を踏まえて、本実験を実施した。期間内では、統制群8名、及び、実験群7名の計15名分のデータを収集した。2)分析フローの確立:収集したデータ(トレーニング前後にフォースプレートで計測した重心位置データ、Pre-Postテストで計測したバランス課題の持続時間、トレーニング中のバランス課題の持続時間、4週間のトレーニング進度)について分析手法やフローを検討した。また、重心位置データの処理・解析プログラムを作成している。3)分析の実施:上記2)の項目の一部はすでに分析を完了したが、重心位置データなどについては、現在分析を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験で得られたデータ(とくに、トレーニング前後のテストで計測した重心位置データの時系列解析)の分析を完了させる。推進方策として、データを解析するプログラムの作成、データ分析を補助する研究補助者の雇用を計画している。分析手法についても、先行研究の知見を踏まえ、再検討する予定である。また、追加のデータ収集・分析を行う。データ収集にあたっては、実験補助者を雇用し、効率的に、かつ、円滑に実験を実施できるよう研究の推進を図る。得られた結果については、成果をまとめ、国内外の学会・会議での発表、学術雑誌への論文投稿を行う計画である。成果発表にあたっては、必要に応じて、共同研究者と役割を分担しながら進める計画である。 また、今年度の実験については、実験計画における大きな変更は計画していない。しかし、安全性の確保のための安全装置の導入、実験内容(トレーニング課題など)の微調整を検討し、実験参加者の安全や負担をさらに配慮する予定である。実験参加者によっては、安全に実験に参加するため、実験者や装置による補助が必要な場合もあるため、実験補助者による安全面のサポート、ハーネスなどの装置による転倒防止といった対応策を講じる予定である。収集したデータについては前年度と同様に分析を行う。実験補助者、研究補助者(データ分析など)の雇用についても同様に検討する。得られた結果については、必要に応じて、共同研究者と役割を分担し、成果をまとめ、国内外の学会・会議での発表、学術雑誌への論文投稿を行う計画である。
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Causes of Carryover |
理由として、予定していた実験のデザインに変更が生じたこと、サンプル数が目標数に到達しなかったことが挙げられる。次年度に追加の実験実施(人件費など)のために使用する計画である。
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Research Products
(2 results)