2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a new CSPG degradation therapy using GUS-D6 and its application to ALS
Project/Area Number |
17K18226
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
及川 弘崇 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (00732041)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | β-グルクロニダーゼ / GUS / 筋萎縮性側索硬化症 / ALS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルラットで確認されている運動神経主病変部におけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の沈着から着想を受け、CSPGの分解酵素であるβ-グルクロニダーゼ(GUS)の投与によるALS病態改善を指向した。また、天然型GUS(native GUS)よりも中枢移行性が3倍高くなるアスパラギン酸を6つ付加したGUS(GUS-D6)を使用し、薬剤によるALS性神経障害の治療法確立を目的とした。 GUS-D6は市場で購入できないため、独自精製を試みてきたが、実験に使用できる酵素の精製には至っていないため、native GUSのみの結果となった。 これまでに培養マウス脊髄由来神経芽細胞腫(N2a)において、5000 U/g濃度のnative GUS条件下でCSPG適用によるN2aの細胞体減少の抑制傾向と神経様細胞の成長促進傾向が観察された。次に自然型C57BL/6マウスの尾静脈から250 U/mLのnative GUSを投与した。その結果、大脳皮質と脊髄において投与群では非投与群よりも2倍以上の酵素活性を観察した。よって、Native GUSだったとしても十分中枢神経系へ酵素が移行することが明らかとなった。 そこで最終年度でALSモデルマウスへのNative GUSの投与を行なった。ALSモデルマウス(ALS Hem)は大凡3ヶ月齢から運動障害が顕在化し4ヶ月齢には死亡する。そのALS Hemに対して3ヶ月齢から4000 U/g濃度のnative GUSを5 μL量含有した薬剤を尾静脈から3日ごとに100 μLずつ投与したところ、運動障害の発症と死亡時期を20日ほど延長した。しかしながら、大脳皮質の萎縮抑制効果は観察されなかった。Native GUSのALS患者への投与は劇的な改善はないにしても病態進行の遅延効果が期待できるかもしれない。
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