2017 Fiscal Year Research-status Report
Examining WiFi activity and filtering method to estimate bus passenger population
Project/Area Number |
17K18236
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西出 亮 神戸大学, システム情報学研究科, 特命助教 (10546906)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | センシング / 人流 / 無線通信 / 高度交通システム / モバイルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,バス停及びバス車内の乗客フローの観測データの解析により,混雑緩和に実効性のある便利で快適なバス利用の情報システムの開発を目指すものである.研究手法としては,バス停における目視による乗客数,並びにノートパソコンを用いてデータ収集を行い,WiFiアクティビティ検出による試行実験の検証結果に基づき,マイコンボードのRaspberry Piを用いてWiFiパケットを検出・記録するプログラムを設計し,乗客フローをより正確に把握するよう留意して研究に着手した. 当該年度では,予備実験の検討のもとに,乗客がバス停で並ぶ混雑状況やバス車内環境における乗客数の変化を,乗客が携帯しているスマートフォンに搭載したWiFi機器の定期的な通信活動を検出することにより乗客人数を推定する作業環境を整え,必要な実験機材を準備した. WiFi検出器は乗客か否かを問わず周囲の全てのパケットを収集するため,乗客と乗客以外のデータを分別するために適用するフィルタリング手法について追究し,フィルタリングに適切なパラメータ設定により推定精度を向上させることを目指して取り組んだ. 当初の計画ではバス停の乗客に焦点を当てていたが,初年度の後半は,特にバスで移動中の乗客に注目し,バスの種類やルートに応じた検証実験を行った.その結果,乗客機器を乗客以外の機器とより高い精度で分別できることを確認した. 一方,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が開催しているAIP若手研究交流会で当該テーマに関するポスター発表を行う機会を得て,本テーマの発展分野や課題について他機関の研究者と有益な情報交換を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の勤務先・職名は,申請時においては立命館大学・特任助教であったが,2017年4月より神戸大学・特命助教に異動になり,新たな勤務体制のもとで本研究課題に取り組むことになった.そのために,実験環境の準備や研究方法等で再検討する必要があったので,当初の予定より多少遅れている.しかしながら,以前の勤務先および現在の勤務先のメンバーの協力を得て研究を進めている. まず,新しい作業環境に適用するために,実験機材を準備しつつ実験環境の整備を行った.さらに,当初の研究計画ではバス停留所でのデータ収集を主たる対象としていたが,本研究を進める上で,バス利用客数推定にはバス車内の乗客データも欠かせないため,バス停留所・バス車内の双方の環境でのデータ収集・分析に取り組んでいる.一方,本課題における研究分野は,以前の勤務先で連携した研究者と共通する部分もあるため,議論や意見交換を行いつつ研究内容の充実を図っている. また,2017年12月に,本務であるCREST課題研究プロジェクト関連行事の一環として,AIP若手研究交流会において本研究課題に関するポスター発表を行い,異分野の研究者と情報・意見交換を行い,幅広い分野を跨いだ知見を得られた.歩行者の動態を画像処理等により検出する技術との併用可能性,バス利用客以外に開店セール・イベント会場・トイレ利用のような混雑や長い行列が発生する他の事例の検討,ニーズに応じた待ち時間推定等,今後の研究の展開や共同研究の実現可能性に向けて有意義な議論ができた.将来的には,他機関の異分野研究者との共同研究も視野に入れ,複合新領域の開拓にも貢献できればと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,乗客層,道路状況,すれ違う歩行者や自転車,周囲の建造物等を考慮した上で,乗客数が推定可能なバス停やバス車内の状況の特徴や性質,Raspberry Piの設置場所・方向・台数,フィルタリングのための適切なパラメータについてさらに検証し,データの偏りを是正する.一方,収集したデータをもとにして有益な活用方法について検討し,バスの利用者・事業者双方に提供可能な情報について整理する.研究に着手した初年度は,勤務先が他大学に異動して,研究方法や実験準備を再検討する必要があったことに加えて,データ収集をバス車内環境にまで拡張したため進捗がやや遅れているが,適切なフィルタリングのためのパラメータの決定とデータ解析を主たる作業目標にして取り組みたいと考えている. さらに,今後の研究の展開においては,データの解析結果をバス利用者に可視化するためのプロトタイプを生成し,利便性・有益性について利用者評価を実施したいと考えている.バス停で観測しているデータや分析結果(曜日ごとの混雑時間帯,バス停の現況,車内の混雑状況等)をバス利用者に閲覧可能にする方法を検討する.アンケート調査によって乗客から得られた利用者評価の結果や意見を,開発システムの改善に活かすことを目指す. 最後に,昨年のAIP若手研究交流会で異分野の研究者から得られたアドバイス等を参考にして,本研究課題が対象とするバスの利用客に限定せず,他分野への展開や応用可能性を追究すると同時に,学際的・国際的な共同研究についても検討したい.
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Remarks |
西出亮,"WiFi検出履歴とフィルタリング精査によるバス利用客数の推定手法",AIP若手研究交流会(ポスター発表) CREST「人工知能」領域,コクヨホール,2017年12月.
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