2021 Fiscal Year Research-status Report
国際的な官民連携による先端科学技術ガバナンスの研究:ナノテクノロジー分野を事例に
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17K18239
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川村 仁子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40632716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グローバル秩序 / 先端科学・技術 / ナノテクノロジー / 国際関係 / EU / 宇宙法 / AI / ELSI |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、2021年6月には、前年度に国際政治学会で報告した本研究の成果をブラッシュアップし、先端科学・技術の研究・開発の促進とリスク管理の双方を両立させるためのガバナンスにおいて重要となる点を、理論的および法・制度的側面から論じた論文「先端科学・技術の研究・開発とリスク管理の両立のためのガバナンス:EU での試みを事例に」を『立命館国際研究』34巻1号に発表した。 また、本研究の成果を含むこれまでの研究の成果を公表するために、研究協力者である龍澤邦彦立命館大学名誉教授との共著の出版に向け注力した。そして、グローバリゼーションや科学・技術の発展によって、これまでの時間の中で積み重ねられてきた人間社会の価値観が揺らぎ、国際関係の支柱である主権概念にまで変化が生じているなかで、グローバル秩序がどのように現れ、機能してきたのか、また、どのような主体が秩序を形成し、そして、現代ではそれらにどのような変化が起こっているのかを、国際政治学・国際関係法学を架橋する視座から検討した、『グローバル秩序論―国境を越えた思想・制度・規範の共鳴―』を、2022年3月晃洋書房より出版した。 2022年1月には、オンラインでR.オースターリンク博士(欧州宇宙機関顧問)らと、本研究および次の研究プロジェクトに向けた、科学・技術政策、特にEUのPPP(官民パートナーシップ)による科学・技術政策に関する研究会を行なった。加えて、研究代表として学内の人文研助成プログラムに申請したプロジェクトが採択され、本研究プロジェクトと共催で、科学・技術によるリスクを含む、グローバル・リスクについての研究会を3回実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19のパンデミック以来、本研究計画はやや遅れていた。しかし、2021年度は、オンラインによって国内外の研究協力者と研究会を開催することができ、資料の収集および研究を順調に進めることができた。 また、共著『グローバル秩序論―国境を越えた思想・制度・規範の共鳴―』を出版できたことによって、本研究の成果を概ね公表することができた。 そして、学内で採択されたプロジェクトとともに、若手研究者の育成にも着手し始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究計画の最終年度にあたるため、国際的な官民連携による先端科学技術ガバナンスの研究、特に、ナノテクノロジーに特化したガバナンスに関する研究成果をさらにまとめ、公表する予定である。とりわけ、ナノテクノロジーのリスクの不確実性や、さまざまな分野への汎用性の高さといった点に焦点を当て、それらをいかに取り扱い、どこまであるいはどのように管理すれば、研究・開発の促進とリスク管理を両立させるガバナンスを実現できるかについて検討する。 また、昨年度より採択された学内のグローバル・リスクについての研究会と共催で、COVID-19のパンデミック以来延期になっている、国際的な科学・技術ガバナンスに関する国際シンポジウム(対面あるいはオンライン)を、2022年度秋に開催することを予定している。国際シンポジウムでは、長年宇宙分野における科学・技術の研究開発とガバナンスに携わってこられたR.オースターリンク博士(欧州宇宙機関顧問)と、バイオテクノロジー分野、特に生命倫理に関する海外の研究者(交渉中)を招聘し、本研究の主題についての講演とディスカッションを実施するとともに、当該分野の若手研究者育成のための若手研究者によるセッションを開催することも企画している。そして、この国際シンポジウムを基盤として、科学・技術と社会に関する書籍を、ミネルヴァ書房より出版する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、COVID-19のパンデミックのため、以前より予定していた海外での資料収集および、対面での国際シンポジウムを実施することを断念した。代わりに、オンラインでの資料収集や海外の研究者との研究会を実施したが、費用はかからなかった。また、参加する国内の学会や研究会の多くがオンラインで実施され、国内出張の回数も少なかった。したがって、次年度使用額が生じた。 2022年度は、引き続き資料収集のための費用として使用する。また、2021年度より採択された学内のグローバル・リスクについての研究会と共催で、COVID-19のパンデミック以来延期になっている、国際的な科学・技術ガバナンスに関する国際シンポジウム(対面あるいはオンライン)を、2022年度秋に開催することを予定しているため、その際の費用として使用する。主には、招聘予定の研究者の旅費、謝金等のために使用する。オンライン開催の場合は、それらに代わり、オンライン開催にかかる費用として使用する。
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Research Products
(3 results)