2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the mechanism of novel multi-functional dental restoration/ sealing material
Project/Area Number |
17K18247
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
篠永 ゆかり 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70531961)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グラスアイオノマーセメント / ハイドロキシアパタイト / セルロースナノファイバー / 機械的強度 / フッ化物イオン溶出 / 酸緩衝能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,歯科用セメントであるグラスアイオノマーセメント(GIC)にハイドロキシアパタイト(HAp)粉末を添加したアパタイトアイオノマーセメント(AIC)を試作し,その反応メカニズムを解明することを目的として行った。 材料として,多孔質で平均粒径約20μmのHApを使用し,基材として小窩裂溝填塞用従来型GICであるFuji IIIを用いた。前年度から引き続き,粉およびHApの配合条件の違いが機械的および機能的特性に及ぼす影響について検討を行うため,当該年度は機能特性として酸緩衝能を測定した。その結果,AIC群はGIC群よりも乳酸溶液のpHを速やかに有意に上昇させることが示された。 さらに,当該年度はGICと化学的な反応を示さないセルロースをGICに添加することによる特性の変化について評価するため,粉末状セルロースナノファイバー(CNF)をGICに添加することによる特性の変化についても検証した。この検証には,基材として従来型歯質保護用GICであるFuji VIIを使用し,総粉末量の2,4,6および8%に相当する粉末状CNFを添加してメーカー推奨粉液比1.8で練和して試料を作製し,3点曲げ強さ,圧縮強さ,ダイアメトラル圧縮強さおよびフッ化物イオン溶出量の測定を行った。 その結果,粉末状CNFを添加したGICの機械的強度は対照群よりも有意に高くなった。フッ化物イオン溶出量にCNF添加率による有意差は認めなかったものの,対照群よりは溶出量が多くなる傾向がみられた。 以上の結果より,GICにHApを加えると機械的強度および機能的特性の向上がみられ,CNFを添加すると主に機械的強度の向上がみられたことから,GIC中のHApの役割はGICマトリックスの強化のみならず,セメント表面pHの動向や酸緩衝能の向上に影響を及ぼしていることが示唆された。
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